駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

宙組 『炎にくちづけを─「イル・トロヴァトーレ」より-』 和央ようか

BSヅカ視聴日記。

タカコさん(和央ようか)トップのお芝居の作品です。
 
…最後みんな死んじゃったんですけどー><
中盤から、どんどん人々が死んでいき、最後はタカコさんまでもが張り付け…。
いや、主人公が死ぬ話は他にもあるけど、この流れで死んじゃうのって、
もう見終わった後、愕然として変な疲労感に苛まれました…。
えっと、彼らが残したものってなんだろう…って必死に考えちゃいましたよ…。
木村先生には伝えたいメッセージがあったのでしょうけど、すみません、私には何も残らなかったです…(T_T)
部分部分に、強いメッセージ性はあったのですけどね、
二人の愛の物語からは何を感じ取ればいいのか、分かりませんでした…。
 
<作品紹介>
 ヴェルディのオペラ「イル・トロヴァトーレ」を元に、宝塚歌劇の普遍のテーマである永遠の愛を描いた作品。トロヴァトーレとは吟遊詩人の意味で、数奇な生まれの吟遊詩人が愛と復讐の渦の中、悲劇的な結末へと突き進んでいく様が、ドラマティックに展開する。

冒頭のシーンから怪しかったんですよね。
ちょっと見慣れない雰囲気で一旦は惹きつけられたのですけど、そのシーンがやたら長い…。
そののちもどうにもテンポが合わなくて、盛り上がる場面は多いのに、どこか退屈さを感じました。
ラストもね、もうちょっと時間を割いて見せる場面じゃないの?というところをあっさりと進めちゃって、
ばたばたと終わった印象です。勿体ない。
一樹さんとガイチさんで、真相暴露のとこでひと芝居見せれたはずなのに…。
(そうするとタカコさんの死ぬ場面がかすんじゃっていけないから??)
本当に、作品としては疑問や愚痴ばかりが先立ってしまうのですが、役者さんの演技は素晴らしかったです。
というわけで、役者さんの感想を…。
 
吟遊詩人で、実は伯爵の弟というマンリーコ役のタカコさん。
女性への優しさがいいです。
レオノーラ(花總まり)に対しても、母親(一樹千尋)にしても、女性を見つめる視線が優しくて、
その姿にやられてしまいます…。
数々の楽曲を堂々と歌い上げる姿も素敵でしたね。
花ちゃん(花總まり)との二人のラブラブなシーンは見惚れます。
ストーリー上、愛情を母にもかなり割いてるのですが、
レオノーラとどっちつかずにならずに、ちゃんとレオノーラのことを想ってるのが通じるのがさすがです。
(脚本がひどくてラストの方なんか、なにやってんだってことになってますが、
そうあまり思わせない清廉っぷりがいいです)
せっかく復讐を誓う役なのに、復讐は不十分でしたねぇ。
タカコさんに復讐劇って似合うと思うので、ちょっと肩すかし…。
復讐するというより、ひたすら真っすぐな役だったと思います。
物語を引っ張るというより、周りに振り回される気の毒な役でしたね…(>_<)
 
レオノーラ役の花ちゃん。歌が素晴らしかったですねー。
なんか途中歌がヘタになってきてる?と思った作品もありましたが、ここではもう完璧。
きれいに歌い上げてました。
お姫様役はもう何も言うことないです。(あ、でもドレス着てるけど「王妃付きの女官」役なんだ…)
花ちゃんの表現力は文句なしで、台詞に説得力を持たせるのも本当に上手です。
台詞と歌だけでマンリーコに一目ぼれした場面を表現するという難しい演出ひとつとっても、
見事に応えてくれます。(だからって木村先生、色々無理させすぎ…)
本当完璧でした。ただビジュアルに衰えが見えてきてますね…(^_^;)
こういうとき、大画面って酷だなーと思います…。
 
ルーナ伯爵役のガイチさん(初風緑)、素晴らしかったですねぇ。
以前は悪人役はちょっと物足りないとこを感じると思ったりしたものですが、
この作品では、全ての悪をすべて引き受けてなお、崩れない深さをもって演じられています。
ここまで揺るがない悪は、憎むのを超えてひとつの美学にも見えてきます。
ガイチさんが「三か月」を歌うところは、優しいメロディの中、無音で戦う彼らも含めて好きな場面です。
 
ジプシー役のタニさん(大和悠河)。いいですねー。
黒塗りがハマる方ではないし、たくさんある歌もちゃんと歌えてるとは言い難い。
技術的には色々不足点が多いのですけど、なんでしょう、あの堂々と演じてるっぷりが素晴らしいのかな。
良かったんですよー、この役のタニさん。カッコよくて、見応えありました。
あと、ジプシーの面々は好きな役者さんばかりだったので、次々と殺される場面は本当に哀しかったです…。
 
マンリーコの母親役の一樹さん、この作品の重要な役どころです。
さすが大事な役をきちんと引き受けて演じられていました。
執拗に息子のマンリーコに愛を訴えて、でも目に穏やかでない光を漂わせ、
それがラストのシーンに生きてます。
狂気の中で、息子が火あぶりになる中「復讐を遂げましたー」という言う場面は、ぞくっとしますね。
ただ母親役というのは…(^^ゞ
一樹さん、惚れぼれするくらい凛々しいお顔ですので、ちょっと違和感を覚えてしまいました。
 
修道院長の毬穂えりなさんもいいお芝居してましたね。
聖職者でありながら、人間らしい俗っぽい感情に揺さぶられる様を見事に表現していました。
この作品の肝となる部分だと思います。
 
テンポがあまり良くなくて、ストーリーにあまり魅力を感じられなかったのですが、
オペラ劇ということで、歌やコーラスが聴きごたえがありました。
話を追いかけるより、その場面場面を楽しむ作品かな、と思いました。