駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

クラークの『幼年期の終わり』を読みました~。

幼年期の終わり』 アーサー・C・クラーク 池田真紀子・訳 光文社古典新訳文庫

ようやく読むことができました。色々感慨深いです…。
様々な人が名著に挙げられてて、目にするたびに興味を惹かれ、ずっと読んでみたかったんですが、
なにせ「SF」というのがネックで…(^_^;)
よく考えたら、私は映画「2001年宇宙の旅」も見てないし、
スターウォーズ」すら見たことないんですもん。
そのくらいSF音痴なわけです…(^^ゞ

ああ、でもそんな私でも(そんな私だから?)、めちゃくちゃ面白かったですよー、これ!!
最初こそ、空に異星人の乗った宇宙船が現れて、って私のイメージするSFっぽかったんですが、
段々予想を裏切る展開になって、最後は、もう何??こんなとこまで来ちゃうの??って。
60年も前に書かれた古臭さなんて、まるでありません。
でもこれ読みながら色んな作品が頭をチラつきました。
私の知る名作SFたちもこれがベースになってんのかな?って思えます。
そういう意味ではやはり古典なんでしょうねぇ。

<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
地球上空に、突如として現れた巨大な宇宙船。オーヴァーロード(最高君主)と呼ばれる異星人は姿を見せることなく人類を統治し、平和で理想的な社会をもたらした。彼らの真の目的とはなにか?異星人との遭遇によって新たな道を歩み始める人類の姿を哲学的に描いた傑作SF。

空に現れた宇宙船からは、中の人はすぐに姿を見せないんです。
それにはわけがあって…って興味を引っ張ってくれます。
やがて途中で姿も見せて、その理由もわかるんですけど、その先の真相がこれまたすごいんですよね。
SF作品でイメージするような難解さはほとんどなくて、とても読みやすかったです。
謎の存在「オーヴァーロード」とは?その目的とは?というミステリ的要素も、
ぐいぐい物語に引き込んでくれました。
これは文系さんでも読めるSF作品ですよ♪
話が哲学的なものへと発展していくのも、すごく面白かったです。

この本に興味を惹かれた一つに、タイトルがあります。
ちょっとSFらしからぬタイトルじゃないですか。
そして、それに比べると章題は割と普通な感じなんですよ。
第一部「地球とオーヴァーロードたち」第二部「黄金期」第三部「最後の世代」
ってなってるんですけね。
しかし読んでいくと、その題から想像した筋書きを遥かに超えていく展開にびびってしまいます。
そして読み終えると不思議だと思えたタイトルも納得なんです。
そして、一部、二部、三部とそれぞれに独立した面白さがあるんですね。
もちろん話は続いてるのだけど、それぞれにメインテーマが違って、
各話が全然違う角度で、全く別物の色で語られてるのが実に魅力的でした。
確かにこれは傑作です!

最後に、この文庫版について。
この本にはクラークの前書きがあって、初読みの私には意味がよくわからなかったんですが、
この作品は一部途中で書き直されてるようですね。
訳者の方の解説によれば、「(旧作で)もともと米ソの宇宙開発競争を強く意識していた第一章が、
冷戦の終結を織り込んだ現代的なものに一から書き直されている」んだそうで、
この新しい第一章の邦訳が収録されているのは、この光文社古典新訳文庫版だけなんだそうです。
一度読まれた方も、もう一度いかがでしょう?

余談。
「ジ」で始まる名前が多くて、カタカナ人物名が苦手な私は混乱…(^_^;)
多いって言っても、ジャン、ジョージ、ジーン、ジェフ、ジェニーってこれだけですけど(笑)
しかも、ジャン以外は家族。
ハードルは低いんですけどねー(^^ゞどんだけ苦手なんだって話です…。