駄文徒然日記

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花組 『舞姫─MAIHIME─』 愛音羽麗

ヅカ視聴日記。(スカステ録画・2008年東京特別公演・千秋楽)
 
みわっち(愛音羽麗)主演作品。
 
よかったですよー。
森鴎外の原作は未読で、主人公がひどい男だと聞いていたので、ちょっと心配したのですが、
いやいや、主人公素敵でしたよー。ヅカ版にアレンジされてたのかな??
主人公の男が、女性に恋をして、やがて仕事か女かで悩む、という非常にスタンダードなスト-リー展開。
なのにこんなに引き込まれるなんて!
日本と異国という、距離と文化の差異が二人の障害として巧く作用していたなーと思います。
あと、脚本と役者さんの巧さもあるでしょうね。
 
豊太郎役、みわっちにきれいによくハマった役柄でした。
とても誠実で素直で、それでいて情熱真面目一直線な人なんですよね。
そして理想を曲げられない純粋さがある。そこが物語の破たんを生むわけです。
優柔不断と責められかねない立場ですが、理想を求めても許される純粋さがちゃんと出せてるから、
彼の苦悩に、見てる側も気持を寄り添わせることができます。
ちょっと歌の音程があやしかったけど、丁寧に心をこめて歌ってて良かったです。
 
エリス役のすみかちゃん野々すみ花)。
宙組での大人っぽい女性役をよく見てましたが、これは純粋な少女の役。
もうまぎれもない純粋無垢を見事に演じきってます。男性の理想の、天使のような女性。
そりゃぁ、豊太郎も一瞬で恋に落ちるわ。
ストレートな喜怒哀楽がとても魅力的で、彼女の無邪気な愛がまっすぐ届いてきます。
最後の突然の変貌などは、すみかちゃんだからこその見事な演技でした。
 
豊太郎の親友役、相沢謙吉のまっつ(未涼亜希)、よかったぁ。
二人を引き裂く役目であるけれど、彼のやるせない心情も良く伝わってくるので、
辛い立場に同情してしまいます。
最後にエリスに歌う歌は、鳥肌が立ちました。
豊太郎に祖国に帰ってもらいたい相沢にとって、エリスは邪魔ものでしかないんですよね。
でも豊太郎が愛した女性だからでしょう、彼女にも情を持って接してる様が、
彼の心根の優しさを表してるようで素敵でした。
 
日本人画家役のみつるくん(華形ひかる)よかったっすよー。
内心不安定で、何かにしがみつきたい、余裕のないがむしゃら感がよく出てました。
強がってても、常に焦りがあるんですよね。
それがラストのすがりつく姿にまざまざと現れて、痛々しかったです。
祖国を否定しながらも、やはり強く根付いていたんですね。
それに気づけず、反発心だけで生きてしまい悲劇となってしまいました…。
それが豊太郎にまた一つ枷となったのですね。
 
マリィ役の華月由舞ちゃん、慎み深きを良しとする日本女子とは違う、
異国女性のあけっぴろげなストレートさがよく出てました。キュートで印象的でした(^^)
マメちゃん(日向燦)~、クセのある役がお似合い(^^)
気の弱い岩井君は、豊太郎に迷惑をかけたりするのですが、それも仕方ないよと思える気の弱さっぷり。
愛すべきキャラになってたのは、マメちゃんの功績だよなー。
舞城のどかちゃん、豊太郎の妹役なのですが、やたら凛々しくてお姉さんにしか見えなかった…(^_^;)
日本女性らしい堅さを出してたのかな?
 
音楽もとてもよかったです。
「愛より命より~♪」としばらく頭から離れませんでした。
心の葛藤を描く演出も面白く、印象的でした。
良い作品でした♪