駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『黒猫・アッシャー家の崩壊』を読みました。

『黒猫・アッシャー家の崩壊─ポー短編集<1>ゴシック編』 エドガー・アラン ポー・著 巽孝之・訳 新潮社
 
私にとって、二冊目のポー作品です。
以前読んだ時に結構好みな感じで、また他のも読んでみたいなーと思っていたところ、
森晶麿さんの『黒猫の薔薇あるいは時間飛行』で「アッシャー家の崩壊」が取り上げられてると聞き、
予習も兼ねて再びトライ!
ああ、やっぱポーって難解~。だけど、妖しい魅力につい引きずり込まれちゃうんですよね。
 
不気味な題材に、不可思議な展開…色んな深読みができるんだろうなー。
なかなか読み解くのが難しので、
黒猫(森晶麿作品のキャラ)に解説を頼みながら読みたい、としきりに思いました…。
 
<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
詩人であり、批評家であり、推理小説の祖であり、SF、ホラー、ゴシック等々と広いジャンルに不滅の作品の数々を残したポー。だがその人生といえば、愛妻を病で失い、酒と麻薬に浸り、文学的評価も受けられず、極貧のまま、40歳で路上で生を終えた―。孤高の作家の昏い魂を写したかのようなゴシック色の強い作品を中心に、代表作中の代表作を新訳で収録。 「黒猫」「赤き死の仮面」「ライジーア」「落とし穴と振り子」「ウィリアム・ウィルソン」「アッシャー家の崩壊」の6編。
 
今回、ゴシック編ということで、不気味な建物が次々と出てきます。
ポーの描写は、女性と建物(室内描写も含めて)に関しては執拗に書かれてます。
建物や調度品にはすごくこだわりがあって、ちゃんと美学があるんだろうなぁ。
そっち方面の知識がなくて、あまりちゃんと頭の中で情景描写できなかったけど…(^_^;)
 
心理描写を事細かに延々と描きながら、突然の視覚描写への反転がすごい。
まさに心から生み出されたような、その目の前の現象には、息をのむ思いがして、ぞくっときます。
ポー作品の恐怖って、沁み込んでくるような恐怖ももちろん大きいのだけど、
そういうところから反転する鮮やかさが非常に印象的だと思います。
 
「ライジーア」は、『黒猫の接吻あるいは最終講義』では取り上げられてなかったと思うんですが、
すごくリンクするようなお話でした。ポーは似たようなモチーフで何作か書くみたいですもんね。
もうラストシーンの鮮やかさはたまりません。
 
ウィリアム・ウィルソン」は以前読んだ短編集にも入っていて、好きな作品。
今回これ読んで、『ブラックジャック』(手塚治虫)の「人面瘡」を思い出しました。
この作品も好きだったんだよね…。
 
「アッシャー家の崩壊」。
ポーの話って、なんかに囚われてるのが多いんですよね。
女性だったり、猫だったり、恐怖だったり…ある種の執着でもあるかと思うんですが、
それによって思うように動けない上での、建物や部屋に閉じ込められる、閉じこもる、
というシチュエーションがすごくハマっていて、恐怖心をあおられます。
この作品はその建物自体が主役とも言えるお話です。
色々なモチーフがすごくポーらしいなぁと感じた作品でした。
 
今回、比較的新しい訳本を読んだんですけど、それでもやはり読みにくかったです…(^^ゞ
前回読んだ光文社シリーズはそんなに苦労しなかったんだけどな。
やっぱ古典は、私には敷居が高いですね…(^_^;)
 
今度は、江戸川乱歩にも挑戦してみたいなぁ…(こちらも全くの未読なんです(^^ゞ)