駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

月組 『血と砂』 汐美真帆&大空祐飛

ヅカ視聴日記。
 
ケロさん(汐美真帆)&ゆうひさん(大空祐飛)ダブル主演作品。
 
これは、面白かったです!
バウ作品の二幕構成って、「この内容にこの長さは必要なんだろうか?」と思う時があるけれど、
この作品は十分に二幕分にふさわしい大作でした。
原作の力かなと思ったんですが、原作から結構変わってるそうですね。
(原作については全く知識ないです(^^ゞ)
うーん、すごい斎藤先生。
これだけの内容をよくうまく絡み合わせて、かつ観客を引き込むテンポ良い構成に仕立て上げたな、と感嘆。
しかもダブル主演、西條三恵退団という点もきちんと消化されていたと思います。
『激情』に通じる雰囲気のある作品。『激情』が大好きな私にはツボでしたねー。
音楽も好きだったし、ああ、もういろいろ満足。
 
<解説>
文学的評価は勿論、「映画」としても長く語り継がれる作品「血と砂」。颯爽たる闘牛士の栄光と堕落を、女性関係を絡めてより宝塚的にドラマチックに描く。数々の情熱的なスパニッシュナンバーを、ロックとオペラを融合した、メッセージ色の強い激しい色合いにより、また、時代考証にとらわれないモダンアート的な要素をふんだんに取り入れた衣装、美術により表現する。この情熱的な作品に、実力派の汐美真帆、大空祐飛が挑む。
 
兄ファン・ガルラード役のケロさん。
一見、黒に染まっていく祐飛君のプルミタスと対をなす白い役のように思えますが(衣装もそういう対ですしね)、
見ていくうちに根っこの同じ二人だということがわかってきます。
上りつめてそして堕ちていく、その浮き沈みがいいですね。
主人公らしい、悪気ない身勝手さが素敵。
弱くてずるい男なのに、純粋さを見せて、嫌悪感を持たせず演じられてましたね。これぞ主演の醍醐味。
それまでケロさんは、どっちかっていうと黒い役のイメージがあったんですが、
まっすぐな(道徳的には曲がった方向だったりするんですけど)役もお似合いでした~。
 
弟プルミタス・ガルラード役ゆうひさん。
もともと陰のある感じだから、復讐を誓う役ってのがハマるんですよねー。
自分のことを一番に考えその他を振り切って突き進む兄ファンと対照的に、
親友チリーパや恋人ルシアの仇に囚われまくって、悪の道をいく、ほんとはいい人(笑)プルミタス。
だって仲間や身内にはめっちゃ優しいんですよ。
復讐に燃える時のぞくっとくる悪者顔と、身内に見せる無邪気な笑顔のギャップにやられました><
彼は不幸なくらい、純粋すぎるだけなんですよねー(涙)悪ぶるほどに、切なさがにじみ出るよー(T_T)
彼の葛藤ぶりが見てて悶えたくなるほど、素敵。(すみません、ただの祐飛さんファンですね(^^ゞ)
歌やダンスは…ですけど、立ち姿が決まってて美しい。見て映える人だなぁ。
そして女性をたぶらかす場面はエロさで鼻血ブーもんです。さすがゆうひさんっっ><
(しかし相手役カルメンに色っぽさが欠けてちと残念…)
 
ドンニャ役の三恵ちゃん(西條三恵)。もうすんごい悪女。でもそれをぎりぎりのラインで、品よくやってます。
ドンニャは自分の欲望に素直に生き、一見自分勝手に見えるのですが、
ただ自分の信念にひたすらまっすぐな人。
別れの場面で縋るフアンを、自分の中の未練とともに振り切って、
苦痛の中で笑うドンニャの凛々しさは本当にかっこいいです。
(その彼女の覚悟が全然通じてなくて、独りよがりに泣き崩れるファン。そのすれ違いも見てて面白い)
三恵ちゃん自身は、色っぽい役向きではないと思うのですが、演技でやりきってます。
ファンとの絡みは、すみれコード大丈夫かってくらいで、ほんとドキドキしました。
最後の最後まで一人で立つ、ぶれのない姿がかっこよかったです。
 
ガラベエトオ役、楠恵華さん。
根っからのいい人ではないのですが、複雑な思いを抱えつつ、
やがてファンのなくてはならない人になっていくんですよねー。
いろんな感情を押し殺して、超クールにファンのそばに立ってる冷静ぶり。
そのファンに強い嫉妬と羨望を覚えながらも、
いつしかファンに尽くす複雑な心境をきちんと表現されていました。
そつがなくちょっと擦れた感じがいいんですよねー。
ラスト、ファンに「かえって来いよ」と言って抱き合う場面は涙が滲みます。
 
るいるい(紫城るい)、男役をまともに見るのはこれが初めてかも…?
男役時代もショーとかで女役姿が多かった気がするので…。
二役で印象的な役。
かわいい少年らしい風貌が、無邪気で気のいい仲間にも、生意気なライバルにもはまってました。
ただちょっとかわいすぎて、ドンニャとのバランスが少し悪かったかな…(^^ゞ
 
嘉月絵里さんは、もう相変わらずの安定感。刑事なのに、顔に傷つっくって、ものすごい極悪ぶり。
どんだけかっこいいのー!?
プルミタスとのやり取りは、もううっとり~。
 
こういう重ーい作品のフィナーレって本当に救われますね。
かっこよく、そして笑顔で終われる舞台でいい余韻に浸れました。
一本にいろんな要素が詰め込まれて、とても充実した作品でした(^^)