駄文徒然日記

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星組 『剣と恋と虹と-エドモン・ロスタン作「シラノ・ド・ベルジュラック」より-』 麻路さき

ヅカBS視聴日記。
 
マリコさん(麻路さき)主演の作品。
 
いやー、原作が有名な作品なのは知ってましたが、ざっくりなあらすじしか知らず、
見てみてちょっと驚きました(^_^;)
なんというか強引な話ですねー。
戯曲らしいお話にも思えますけど、私のように初見で真面目に見てしまうと突っ込みだらけ…(^^ゞ
そんな私を黙らせてくれたのは、マリコさんとあやかちゃん(白城あやか)の熱演でした。
 
冒頭から主人公・エドモンが、ヒロインの父親をあっさり殺してしまって、
「とんでもないなー」とびっくりしたのですが、それは原作の主人公のもつ、
醜い容姿というコンプレックスの代わりだったんですね。
ヒロインに素直に恋することができない枷として、宝塚のトップにふさわしい設定に書き換えたわけです。
でもそれが、二番手のジェラールの立場をすごく中途半端にしてしまった感があります…(^_^;)
華麗かつ豪胆かつ知的だという怖いものなしの男らしいエドモン。
原作なら知性の足りない美男と甘い言葉を紡ぎだすブ男という対比が面白くなるんでしょうけど、
宝塚の設定では、エドモンに比べ、ジェラールのアピールポイントが弱すぎます。
しかもこの舞台ではジェラールがコミカルにされてて、ますます、かっこいいエドモンとの差がつけられてます。
まあその分、ヒロイン・クリスティーヌがジェラールに惹かれる一番の理由が、
甘い言葉でつづられた手紙であることが、より明確になるわけですけど…(^_^;)
ジェラール役のノルさん(稔幸)、気の毒…。
こういう設定では、もっとトップと二番手が競い合ってこそ面白いと思うのになー。
 
というわけで、話にはいまいちのめりこめず見てたのですが、
これを見ながら、マリコさんの悪い男ぶりはたまらんなーとうっとり。
悪い男をかっこよく演じてこそ、男役!!
どんなに強引でも、どんな俺様発言でも、憎たらしく思うどころか、
そのかっこよさにうっとりため息をつきたくなるんですよねー。
マリコさん演じるエドモンは、どんな悪態ついても素敵でした!
そして、そんなエドモン、何人もの女性を泣かしてきたくらいの男だというのに、
父殺しの咎を負ってるために、いつもの手順でクリスティーヌに手を出せず、初恋のように戸惑うんですよねー。
そんな純粋さもいいギャップになってて良かったです(^^)
 
クリスティーヌ役のあやかちゃん。幅広い役柄を演じられる娘役さん。
今回は純粋なお姫様な役を可憐に演じられていました。
しかしこのクリスティーヌ、エドモンたちに騙されていたばかりに、
ラストではいくつもの真相を突き付けられ、混乱で戸惑うほどだろうに、
あやかちゃんが力技できちんと一つ一つ消化して、説得力を持たせているのに驚きました。
ああ、二度も大事な人を失った悲劇のヒロインに見えるよ~、と。
下手したら、父親のことといい、手紙のことといい、騙されまくった気の毒な人に見えるか、
二人に恋した浮気な女性にも見えかねないのに、
ちゃんと彼女の本気の悲しみが伝わってきて見事だな、と思いました。
 
ミナコちゃん(真織由季)の安定感ある歌声にも癒されました。トップさんが、……ですので(^_^;)
 
原作通りの流れとはいえ、コミカルな告白シーンと悲劇のようなラストの演出のギャップに、
なんだかつかみ損ねるところがありました(^_^;)
物語の間に唐突に挟まれた妖しいダンスシーンも、ちょっと意味不明に思いましたが、
これは素敵だったのでいいです(笑)
最後の場面も長いですしね…(^_^;)エドモンの最後の狂気は必要だったのでしょうか?
コミカルやシリアスや耽美など、いろんなテイストがつぎはぎにつなげられてるように感じられて、
場面場面は楽しめるのですが、ストーリーにはまり込みにくかったです。
 
というわけで、お話は違和感だらけで面白いとは言えなかったのですが、
そんな作品でもトップコンビの熱演は素晴らしく、
ラストシーンは生で見たら泣けたかもしれないな、と思ったのでした。
 
色々気になるので、ちょっと原作を読んでみようかな~?