駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

菅野文さんの新選組マンガ。

ずいぶん前に一度紹介したことあるのですが、新作が出て、古いのもまた読み返したので、
もう一度紹介します♪

菅野文さんの新選組シリーズ!!

菅野さんと言えば、「オトメン」で有名な漫画家さんですが、実はかなりの新選組ファン、
そして土方さんファンなのであります。
10年前に鳥羽伏見以降の新選組を描いた「北走新選組」を出されて、
その後、沖田が二重人格という創作を交えた「凍鉄の花」を出されました。
それ以降新選組を書かれることはなかったので、残念に思ってたのですが、
去年久しぶりに斎藤一がメインの「誠のくに」を出されたということを知って速攻ゲット!!
「北走~」の時、会津戦争を描けなかったのが心残りだとおっしゃってましたもんねぇ。

では発刊順と逆にご紹介。

「誠のくに」
何度も名前を変え、新選組の主要隊士の中では希少な、
幕末後も生き残った、斎藤一を中心に描いた長編。
るろうに剣心でも藤田五郎として登場しますね。毎回必ず数字が入ってるのはなぜでしょうね?)
斎藤さんは長生きな割に、不明なことが多い隊士で、創作し甲斐がありそうです。
この斎藤さんは江戸で会津藩邸に縁があり、全体的に会津絡みで物語が描かれます。
斎藤さんの長い人生を一冊で書くので(まあ人生全部を描くわけじゃないですが)、
かなりダイジェストな感じになってます。
この時代の大まかな流れが入ってないと少し読みづらいかも。
会津を描くので、八重の桜とずいぶん重なります)
転機ごとに名を変え、自分のあるべき場所を探す斎藤さんと、彼を導き、やがて道を分かつ土方さん、
そして悲劇の中でも懸命に生き抜こうとする会津の人々が描かれます。
余談ですが、斎藤さんは左利きで描かれることが多いけど、この作品では右利き。
左利きも確実な説ではないので、そこは菅野さんのこだわりなのかなー
また、斎藤さんが試衛館にいたという説もあるけど、この作品ではそうじゃないんですよね。
確実じゃない説は使わない。先日読んだ「HHhH」の著者に通じるものがあるのかも…(笑)


「凍鉄の花」
沖田くん主役で、二重人格というフィクションな設定がメインで進む、
他の二作とはちょっと毛色の違う作品。
菅野さん自身も「北走~」とはまったくつながりのない別次元の話、と言われています。
沖田くん絡みの話は完全なフィクションで、土方さんを恨みに思う一方で慕いもするという
少女マンガテイストです。
だけど、さすが作者が土方ファンだけあって、ちょこちょこ見せ場を沖田くんから奪い、
ところどころ主役誰だっけ?って思わせるくらいの美味しいとこどりの土方さんです。
前の記事で沖田ファンにはオススメと書いたけど、
これ読んで喜ぶのは土方ファンの方かもしれない(笑)
伊庭八さん、芹沢さんもかなりかっこいいですよー。

「北走新選組
10年たって新作が出されたわけですが、絵柄もお話も、やはりこの作品がベストだと思いました。
土方さん、美しすぎます…。
非常に美麗な絵柄なので、男性の方などは敬遠されるかもしれませんが、
この本は新選組ファン必読の本だと思ってます!
確かに少女マンガらしい、絵柄や演出の美しさは多少はあるけれども、
かなり真摯に歴史に向き合った作品なんですよ。
作者は鳥羽伏見以降の新選組が好きだと言っており、
この作品は新選組作品としては珍しい鳥羽伏見以降が描かれています。
確かに京の新選組は血生臭さがまとわりつき、華々しい派手さもあるけど、
傲慢さや過激ぶりも目に余って、単純に「かっこいい」とは言えません
組織でもあるので、醜い内部紛争もかなりありますしね。
しかし大政奉還以降、混迷していく激動の時代で、負け戦とわかってて戦い続ける姿の中で、
組織としての新選組は崩れ、意識集団として純粋さを持ち始める気がします。
外部から立場を振り回された結果、その思想はますます不確かになり混迷だらけで、
もはやなんのために戦ってるのかわからなくなってしまうんですね。
もう一人一人が、強い覚悟と個々の義をもたないとやっていけなくなるんです。
そんな、戸惑いながらも、やがて覚悟を決めて突き進む姿には、切なさが迫ります。
鳥羽伏見以降は、ほんと哀しいエピソードだらけで涙涙です。
組織が崩れたせいか、本来の姿が垣間見える土方さんのかっこよさも、
ここでこそ本領発揮な気がします。
(しかし後半の新選組、というか土方さんは色々不運にとりつかれてるとしか思えない…)
「碧に還る」(野村利三郎メイン)
「散る緋」(相馬主計メイン)
「殉白」(土方歳三メイン)
(野村君や相馬君メインと言ってますが、この本のメインは土方さんです)
新選組を正当化するつもりはないですが、彼らの物語は大好きです。

おススメとしては、新選組or土方ファンなら「北走新選組」は絶対!
そしてフィクションOKで、この土方さんを、主役でなくていいからもうちょっと見たいなという人、
もしくは京の新選組を見たいなという人には「凍鉄の花」。
会津戦争や斎藤さんを読みたい方は「誠のくに」って感じでしょうか?
(もちろんこれにも土方さんはたくさん出てますよ)

興味のある方は是非是非♪