駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『チルドレン』 伊坂幸太郎

この本は昔読んだことあったのですが、すっかり忘れてしまっていたので、再読。
近いうちに「サブマリン」を読む予定です。

うわー、やっぱり面白い。
昔読んだ時も面白いと思ったけど、なんだろこの近年にない、すっきりした面白さ。
昔の作品は昔の良さ、今の作品は今の良さがあるんだなー、としみじみ思いました。
伊坂ファンですので、今の、何か含んだような面白さも、昔のシンプルな面白さもどっちも好きです(^^)

<内容紹介>
「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々――。何気ない日常に起こった5つの物語が、1つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。「バンク」「チルドレン」「レトリーバー」「チルドレンⅡ」「イン」。

クドカン脚本のドラマ、「ゆとりですがなにか」を毎週楽しみに見てました。
ドラマを見ながら、この作品も読みながら、で気づいたんです。
クドカンと伊坂さんって、雰囲気が全然違うから気づかなかったけど、
パーツごと見ると、結構共通点が多いんじゃないかと。
軽妙でテンポよい会話、至る所に張られる伏線、そして鮮やかな回収。
一見、飄々として平和そうなのに、何気に突然暴力的だったりするんですよね。
変な人だらけなのもよく似てます。
細部が楽しいので、何回でも楽しめるのも一緒。
そして、その、他にはない独特な魅力に引き込まれてしまうんですよねぇ。
笑えるのに、最後はジーンとくるとこがたまらない。どっちも大好きだー!

この作品に出てくる、陣内さんもとんでもないヤツなんですよね。
自分勝手で、突拍子もなくて、言動がワケわかんなくて。
絶対身近にいたら嫌なんだけど、でもなんでかすっごくかっこよく見えてしまうんですよ。
多分、自分にない部分にがっつり惹かれちゃうからだろうなぁ。
他人の目を気にしたり、常識的であろうとする私には、自分だけの価値観ってのが欠けてるんじゃないかと思う。
だから、陣内さんの、思いもよらないところから飛んでくるパンチのような言動に、
ガツンとやられちゃうんだろうな。
ちなみに、たくさんある陣内さんの名言の中で、特に印象的だったのはこの二つ。
「パンクロックってのは、立ち向かうことなんだよ」
「大人が恰好良ければ、子供はぐれねぇんだよ」
ああ、私も一人でどしんと立てる人間になりたい…。

盲目の永瀬さんというキャラも、とても素敵なキャラでした。
でも穏やかな風でいて、かなり鋭いお方なので、
私は読みながら、目が見えない人、という思い込みのタガをがんと外されるたびに、反省させられました。
盲目の人の不便は、目が見えないという不便以上に、
健常者の思い込みからくる齟齬とかの方がめんどくさそうですよね…(>_<)

最初、銀行強盗の場面があって、顔のテープとか、もしや彼ら!?とか思ってどきどきしてしまいました。
(この頃「陽気なギャング」シリーズを読んだばかりだったので)
読んでいくと、この銀行強盗は彼らではないようでしたが、
さりげなく彼らの記述っぽいのもちらっと出てて、うれしかったです。

あと、陣内さんのバンド、是非聴きたい!!超・かっこよさそう!ってすっごい思いました。

さあ、続編は彼らと再会できるかな?楽しみ楽しみ。