駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『シンデレラ・ティース』 坂木司

実は私、坂木さんの作品って「和菓子のアン」シリーズしか読んでないんですよね。
そんな話をしたら、知人が文庫本を貸してくれました。
リンクしているという二冊です。今回はそのうちの一冊。

まず、表紙にやられました!
あれは反則です。ハムスター愛好家の私としては、もうそれだけで「完敗」(笑)…と、冗談はさておき、
内容は、なるほど「和菓子のアン」の作者さんだ、と素直に思える作風でした。
覆面作家さんだそうですが、きっと女性ですよね?
お仕事ミステリでありながら、少女マンガのようなときめきも込められたお話でした(^^)/


<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
大学二年の夏、サキは母親の計略に引っかかり、大っ嫌いな歯医者で受付のアルバイトをすることになってしまう。個性豊かで、患者に対し優しく接するクリニックのスタッフに次第にとけ込んでいくサキだったが、クリニックに持ち込まれるのは、虫歯だけではなく、患者さんの心に隠された大事な秘密もあって…。サキの忘れられない夏が始まった。


まあ、そんなときめきエピソードも含めて、ツッコミどころはいろいろあったんですが、
日常の謎解きと、四谷さんとの恋の進展を楽しく読めたので満足です。
まあ、ツッコミどころはね、診察券を「メンバーズカード」と呼ぶスポーツクラブのような歯医者って、とか、
専門書の一夜漬けでどんだけ知識つけてんですか、とか、その年の差はちょっと引いた、とか、
雑談から第二のカルテを作るとか私が患者ならちょっと勘弁、とか思っちゃったんですけどね。
でもお話自体が全体的にほのぼのしていて、リアリティさがない方が楽しめるお話だったので問題なしです(^^)/

そんなささいなツッコミどころ以上に、スタッフたちが真摯に患者さんに向き合ってくれる様子にじんときました。
こんなに病院にかかれたら幸せですよね。
病院選びって本当に難しくて、当たり外れが大きいよな、とよく思うので。

若かりし頃、接客をしていた時は、ただただ「クレーマーに当たりませんように」とだけ思っていたんですが、
理由もなく文句言いたいだけのクレーマーなんて一握りかもしれませんよね。
お客さんにはお客さんの事情があるのに、それを無視して、
「嫌な人に当たったなぁ」と思いながら平謝りだけするのは、お客さんに対しても失礼ですよね。
クレーマー対応の上手な上司は、まずお客さんの言い分を完全に聞き届けてから、丁寧に対応されていました。
店側にとって困ったお客さんはどこでもいると思いますが、お客さんもきっと何かに困っているのでしょうね。
この本に出てくる困ったお客さんたちのように。
そういう視点を持てると接客も少し怖くなくなるような気がします。
それでも、外で怒鳴ってる人を見ると、もっと大人な対応をしてほしいなぁと思うのですが(^_^;)

日ごろ、歯医者には定期検診を含め、わりと頻繁に通っているので、すごく身近な舞台で興味深かったです。
咲ちゃんと四谷さんのこの先が気になるけど、続編はないのかな。残念。