駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『どこかでベートーヴェン』 中山七里

ううーん、好きなシリーズなんですが、今回のはちょっと不満かな。
相変わらず文章は読みやすくて、するする読めたんですが、別の意味で読みにくかったです。
冒頭は前作「いつまでもショパン」の続きになってますが、本編は岬洋介の学生時代のお話。
岬先生のピアノの腕が別次元になるくらい、あまり程度の高くない音楽科に、
彼が編入したところから話は始まります。
そのクラスメイトが揃いも揃って低俗でしてねぇ…(^_^;)
天才を前にして妬んだり、恨んだりはあるでしょうけど、それにしてもそれが延々と続くし、
家に帰ればお父さんが息子に対してあり得ないほど辛辣だし、もう読んでて気分が悪かったです(-_-)
岬先生の才能を妬む人もそりゃいるだろうけど、クラスみんなであの態度ってどうなの?
ちょっとひどすぎますよね。


<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
ニュースでかつての級友・岬洋介の名を聞いた鷹村亮は、高校時代に起きた殺人事件のことを思い出す。岐阜県立加茂北高校音楽科の面々は、九月に行われる発表会に向け、夏休みも校内での練習に励んでいた。しかし、豪雨によって土砂崩れが発生し、一同は校内に閉じ込められてしまう。そんななか、校舎を抜け出したクラスの問題児・岩倉が何者かに殺害された。警察に疑いをかけられた岬は、素人探偵さながら、自らの嫌疑を晴らすため独自に調査を開始する。


今回も一作目同様、ミステリは申し訳程度で、音楽科の高校生の学園物って感じです。
そして学生時代の妙な自意識の高さと、自分の無力さを責任転嫁する厭らしさを存分に描いてます…。
最後の方だけでもいいので、学園物ならもっと爽やかさがほしかったよぅ。
今までも明るい内容ではなかったし、嫌な人も出てきたけど、
彼らなりに強い思いがあってこそだから物語に引き込まれたのに、今回のは嫌悪感ばかりでした…。
あと集中豪雨の描写もあって、現実で大きな被害が起こった中での読書でしたので、
フィクションとして無責任に読める感じじゃなかったです…(>_<)それも読みづらさの一因でしたね。

ミステリはと言えば…、事件発生から容疑者特定の流れが雑だったし、そのトリックもなんか適当感が…。
でも、そこまではまあありだと思ったのだけど、
あの検証の流れは無理やり感が半端なくて、受け入れづらかったです。
あのシチュエーションを用意しないとダメなの??
相変わらず素晴らしかったのは、音楽描写。
今回はベートヴェンなので「月光」と「悲愴」でした。
しかしそこに至るまでにムカムカしてるので、今回は岬先生の演奏にどっぷりとつかれなかったです…(涙)。

最後の一文はちょっと驚き。そうきましたか。これからも彼は登場するのかしら?

ということで、好きなシリーズなだけに辛口な感想になってしまいました><。
この話は続きがあるそうで、「もう一度ベートーヴェン」として続編が出されるようです。
次作はもう少し岬先生に光が見える話になってるといいなあ。
次作を楽しみに待ちたいと思います(^^)