駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『あきない世傳 金と銀2 早瀬篇』 髙田郁

みをつくし料理帖シリーズ」が大好きで、とてもとても高評価してる私です。
だから、ついついこのシリーズにも期待しちゃうんですが、うーん、やはり「みをつくし」は超えないなぁ…。
比べる対象がなければ、そこそこ面白いシリーズと思って読めたでしょうに、
毎回4編の作品で構成され、それぞれのお話に料理が物語の柱として立っているという、
非常に凝った構成だった「みをつくし」に比べると、ずるずる続いていくだけの話に感じられて、
なんか展開がじれったいというか、物語の引きが弱いというか。
毎回最後に、驚きの展開が用意されてるわけですが、そこに行くまでがなんか長く感じてしまうんですよね…。
江戸の「商い」を丁寧に描く描写は、とても興味深くて面白く読むんですけど、
主人公の幸が立場上、まだ自発的に動けないからでしょうか、いまいち魅力が薄いように感じます。


(以下、ネタバレありの感想です。未読の方は決して読まれませんよう!!)





<内容紹介>(出版社HPより)
学者の娘として生まれ、今は大坂天満の呉服商「五鈴屋」に女衆として奉公する主人公・幸。十四歳の幸に、店主徳兵衛の後添いに、との話が持ち上がった。店主は放蕩三昧で、五鈴屋は危機に瀕している。番頭の治兵衛は幸に逃げ道を教える一方で、「幸は運命に翻弄される弱い女子とは違う。どないな運命でも切り拓いて勝ち進んでいく女子だす」と伝える。果たして、「鍋の底を磨き続ける女衆」として生きるのか、それとも「五鈴屋のご寮さん」となるのか。あきない戦国時代とも呼べる厳しい時代に、幸はどのような道を選ぶのか。話題沸騰のシリーズ第二弾!



阿呆ぼん…ほんまの阿呆ぼんやったんやね…(涙)
この先、きっと幸の影響を受けて彼も成長していって、
いずれは二人で五十鈴屋を盛り立てていってくれるのよね?と思って読んでたんですよ。
なのに周りの足を引っ張ってばかりで、
「いくら阿呆でも、もうちょっと同情を誘うようなダメ男なりの愛嬌とかみせればいいのに」と、
愛想をつかしそうになっていたら、まさかの捨て駒だったとは!!!
だから、いつまでたってもこんなイヤーな人だったんだ…と納得はしましたが、すっきりはしませんでしたよ…。
息子と言えど、甘やかしてしまう富久にすら残念感を覚えてしまったし…。
ある意味、捨て駒だった阿呆ぼんは幸の踏み台役だったとも思えてくるわけで、いい気がしないんですよねぇ。
次にくる惣次もなぁ…兄の死になんか関わってそうで嫌なんだよなぁ。
なんか妙な伏線っぽいものがあった気がするけど、あれは私の勘違いだと願いたいです…。
(返却間際で慌てて読んだから定かではない…)
一巻では、幸は智ぼんといい感じだったのに、彼は早々に出ていっちゃうしね。
本当はこの智蔵とくっついてほしかったけど、もうこの展開じゃ、ちゃんと惣次と添い遂げて!って思います…。
一巻で、幸は自分の理解者を次から次へと失っていましたが、今回もまた大事な人が離れていきました…。

とにかく辛い展開が多いんですよね…。
「みをつくし」の澪ちゃんも苦労は多かったけど、1話ごとにちゃんと報われていたから、
気持ちよく読み進められていたのに。

と、期待が大きいだけに辛口な感想になってしまいました。
でも読者メーターとか見てると好意的な方が多いので、私は少数意見なんでしょうね~。
とはいえ、この時代の町人文化にはとても興味があるし、呉服の仕事の描写なんてすごく面白いし、
髙田さんの文章は読みやすくて好きだし、ちゃんとこの先も追いかけていきますよー!