駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

朝が来るまでそばにいる 彩瀬まる

デビュー作の中でにじみ出ていた、彩瀬さんの「不穏さ」に惹かれて、ずっと読み続けています。
「桜の下で待っている」などはその不穏さが薄れてて物足りなさを感じたのだけど、
今回はそれをどーんと前面に出してきましたよ…。
そしたら、何たるホラー(><)
そう、もはやホラーテイストの作品集に仕上がってました…。
人間の奥底の感情を、包み隠さずごそっと取り出すと、
もはや人の形をとどめないかいぶつのようなものとなってしまうのね…。


<内容紹介>
弱ったとき、逃げたいとき、見たくないものが見えてくる。高校の廊下にうずくまる、かつての少女だったものの影。疲れた女の部屋でせっせと料理を作る黒い鳥。母が亡くなってから毎夜現れる白い手……。何気ない暮らしの中に不意に現れる、この世の外から来たものたち。傷ついた人間を甘く優しくゆさぶり、心の闇を広げていく――新鋭が描く、幻想から再生へと続く連作短編集。


愛と憎しみは紙一重というけど、まさにその綱渡りの向こう側に落ちちゃった人たちのお話、
と言ってもいいのかな?
ホラーで怖いんだけど、それだけじゃない、どうしようもない人間の業のような切なさを抱えた人物たち。
「執着」という業は、こんなにも人間を醜くしてしまう。
でもその醜さを避けるのではなく、それすらも飲み込んだところに本当の生がある…?
短編集である本作の中に、タイトルの名前の作品はないのだけど、
読み終えるとそのタイトルが不穏に響いてきます…。
マイナスの感情に囚われて、夜の中から逃れられない人たちが、
やがてそれと向き合って、朝を迎えようするお話たち、と無理やりまとめるとこんな感じなるのだけど、
まあ、一筋縄ではいかない作品集となってます…。

ホラー苦手なので、彩瀬さんじゃなかったら読んでなかったと思うけど(^_^;)、
これもまた彩瀬さんらしい作品といえるんじゃないかと思いました。

時間なくてざっくりな感想になってしまったのが心残りだけど、こんな感じでぼちぼち続けていきます~。