駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎

(ネタばれになってるかもしれません。未読の方はご注意ください。)

巧い!伊坂さんの集大成と書かれてましたけど、まさに。
面白かったです。
章の並べ方が秀逸ですよね。

事件のはじまり、事件の視聴者、
なぜかいきなり事件から二十年後、
そしてメインである事件そのもの。最後に事件三ヶ月後。
一見不可解な並び方ですけど、読んでみると実にうまくできていることに気づかされます。
「視聴者」の項目があるのがミソですよね。
情報と事実のギャップを思い知らされます。

この本で言いたいことは、きっと二つ。
「マスコミは嘘だらけ」
「政治家は利権で動く」
この二つは、結構何度も繰り返されてた気がします。

一個人が巨大組織に挑むことの無力さは、池井戸潤の『空飛ぶタイヤ』を思い出します。
権力があれば、どんなことだってできてしまうのです。
それこそ「黒を白」にすることだって、「白を黒」をにすることだって、
いとも簡単に行われる現実。
この「ゴールデンスランバー」だって、そんな荒唐無稽な話じゃないはずです。
現実に起こった、ケネディ大統領暗殺事件を元にしてるわけですし。
(だからこの本でも敵の詳細は明らかにされなかったんでしょうね)

ただこの本は、そういうことを声高にいってるわけじゃないです。
なによりエンターティメント作品であること。
伏線をばらまき、きちんと回収し、
きれいに物語を締める作りは見事です。
印象的な言葉が多いのも、伊坂さんならでは。
読んだ人にしかわからない名言、多いですよね。

晴子のキャラがちょっと変わってて、好きでした。
娘の七実ちゃんも良くできた子で!

読み終えたあと、また冒頭の方を少し読み返して、事件を振り返ったら、
私が、回収しきれてない伏線がいくつもあるようだったんですが、
読み終えたのが返却日だったので、きちんと照らし合わせられないまま、
本を返してきました~(涙)
(手元に本がないままこれを書いているので、詳細が怪しい…。
色々間違ったこと書いてたらごめんなさい…)

20年後に事件を検証していた「筆者」は何者だったのでしょう?
「森の声」の記述があったので、登場人物の誰かですよね。
青柳だったのかな~?
晴子やカズの可能性もあるのかな?
不審な遺体が二体というのも気になりました。
一つは、偽青柳のかなと思ったんですが、もう一つは?
キルオとか??何人も死んだからよく分からない…。
読み返すと、まだ発見が色々ありそうだったのに、
十分に検証できなくて残念…。

あと、結局青柳と晴子が別れた理由がよくわかりませんでした。
やっぱ板チョコですか?
(もちろんそれだけじゃなくて、それまでに積もり積もったもの、
というようなことを言ってましたけど)
晴子の旦那もなんか怪しげだったので、
もっとこれぞ、というのが出てくるかなーと思ったんですが、
特に触れられてなかったですよね?

もう一回読まなくちゃすっきりしないな…。
(でも私のあとにたくさん予約入ってるから再度借りるのは無理…)
なんかぐだぐだなレビューになってしまった…(反省)

星は四つです。