駄文徒然日記

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『哄う合戦屋』 北沢秋

歴史に疎いくせに、時代物になぜか反応してしまう私です(苦笑)
そうしてこのたびも「新しい感じ」に惹かれ、手に取ったこの本ですが…。

(あらすじ)
天文18年(1549年)。武田と長尾に挟まれ、土豪が割拠する中信濃
山深い名もなき城に、不幸なまでの才を持つ孤高の合戦屋がいた…。
殿を天下人にすることのみを願った男の壮大な人間ドラマを描く。

非常に読みやすく、面白い本です。
しかし読後の充実感の物足りなさに首をひねりました。
何か違う…。
多分「戦国物」としては、重みが足りなかったのだと思います。
戦国時代ものの魅力は群雄割拠。
その登場人物の多さや絡みの複雑さが、
歴史物の苦手な人には高いハードルになってしまうと思うんですけど、
この本は登場人物が限られていて、そこがすっきり読める分、
物足りなさにつながってしまったような気がします。

人物描写が僅かな人しか描かれてないんですね。
主人公、お姫様、お殿様、あと脇役が少し書かれてるくらい?
敵役に至っては、簡単な説明と名前くらいしか書かれていないので、
どんな人物かまるで浮き彫りになりません。
主人公石堂一徹が、爽快に敵を倒していくのですが、
読み手に倒される側にまるで関心が起こらないので、胸に響いてこないのです。
メインの人物以外も、もう少し魅力的に描けていたらよかったのになーと思いました。

とはいえ時代小説ではなく、娯楽作品だとすれば、十分に面白かったといえます。
歴史小説などをあまり読まない人には、
読みやすくてとっつきやすい本でしょう。
時代背景の説明も細かくありますので、
歴史初心者にはちょうどいい本だと思います。

星は三つです。