駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『キケン』 有川浩

もったいない~というのが一番の感想です。
表紙にとても惹かれて、
(もちろん「そういう話じゃないでしょ!?」というツッコミ込みで、です)
借りてきた本でしたが、
せっかく楽しめそうな設定が、生かしきれてないように思えました。

完全文系の私は、ないものねだりからか「理数系」という言葉に非常に弱いです。
今回も「理系な男の子たちの物語だ~」と喰いついたのに、
恋愛話、ラーメン話と…理系要素がちょっと足りなかったです…。
面白かったんですけど、思ってたものと違ったというか、
期待しすぎてしまったというか…。

せっかくPC研とやりあうっていうのに、いつもの有川さんのパターンというか、
PC研が主人公を引き立てるだけの悪役で終わってしまって残念でした。
そこにもっと魅力的な人物を持ってきてライバル的立場にして、
学祭ラーメンバトルなり、
ロボコンバトルなり繰り広げられれば(PC研はロボットは作らないかもしれないけど)
もっともっとキャラたちが生き生きして面白かったんじゃないかなーと思います。
だって、上野なんか過去話はすごいのに、あまり突き抜けた行動してませんでしたよね。
(第一話と、あとバイクで救出するところくらい?)
思ったより大人しくて…。
大神も二話目にあの恋話持ってくるから、いまいちに感じられたというか…。
(あの話はもっと大神のキャラが立ってから、持ってきた方が良かった気がします…)
全体的にキャラたちが小さくまとまっちゃった感じです。

元山くんは唯一、キャラを存分に振るえた感じでしたね。
ラーメン話では「お店の子」全開でラーメン作るし、拉致されるし、
でもカッコよく抵抗するし。
最後の話では、ちょい悪なこともやったりして、楽しめました。
(逆に池谷君はかすんでしまってましたね…)
でも、やはり元山くんが主役(?)とはいえ、表紙に惹かれた私は、
二人が脇に回ってるラーメン話が本のメインなのも不本意…。

色々突っ込みどころが多くて(先輩方がほとんど出てこないとことか…)
なんか設定があまり作り込まれてなくて、さらーっと書かれた印象です。
でも、最後はよかったです。じぃんとしました。
(黒板もいいですよね。表紙といい、マンガを上手に使ってるなーと思いました)
大学生活の、無意味で無駄な時間が、どれほどかけがえのないものになるか…。
過ぎてしまってからしかわからない、もどかしさですよね。
大学卒業して何年かたった後くらいの人には、
リアルに沁みる一冊になるのでは?
(私は過ぎすぎているので、ちょっと冷めた感想になってしまいました…汗)

星は三つです。