駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

雪組 『仮面のロマネスク』 高嶺ふぶき

ヅカBS視聴日記。
 
ゆきちゃん(高嶺ふぶき)サヨナラ公演。
 
ゆきちゃんは、今回宝塚には珍しく、
劇中で何人もの女性をたぶらかすヴァルモン子爵という役。
下手したら反感を買いそうな役回りなのに、
そんな男を魅力的に演じて見せているのは、すごいです!
複数女性に愛を吐くわけですが、どれもちゃんと『本気』を見せてるから、
憎めないのですよね。
遊び心で近付いても、「愛してる」視線は本物だから、女はうっかり騙される。
そんな罪な男を、ゆきちゃんは本当に上手に演じてます。
 
花ちゃん(花總まり)のメルトゥイユ侯爵夫人。
ヴァルモンと同じように、束縛されない自由な恋愛を謳歌しているはずなのですが、
その実、ヴァルモンへの一途な思いを胸に秘めているようです…。
でもそれを仮面に隠し、気高く気丈にヴァルモンと渡り合うメルトゥイユを
これまた魅力的に演じてます。
花ちゃんのメルトゥイユは、
強気な台詞を吐けば吐くほど痛々しくて、
言葉と反対の心に気付いて、と叫んでいるようです。
 
『心に仮面をかぶらなければ、この世界では生きていくことはできないのよ』
(劇中の象徴的なセリフ。メルトゥイユのセリフではないですが…)
 
この二人の間の緊迫した空気がぞくぞくします。
色恋が日常を大きく占める感じや、強引な恋の駆け引きなどが、
源氏物語を思わせますね。
ゆきちゃんも西洋版光源氏のようだ。
 
ユリちゃん(星奈優里)は娘2というより、
ほぼ花ちゃんと同等の重要度がありましたね。
このトゥールベル夫人とヴァルモンの二人のシーンも大きな見どころでした。
ユリちゃん、ぎこちない台詞まわしがあったりしますが、
トゥルーベルの頑なな感じがすごくよく出てて、
ヴァルモンの誘惑に抗えない葛藤が、本当によかったです。
舞踏会でヴァルモンがメルトゥイユを選んだ後の、
トゥルーベルの崩れ落ちるダンスは息をのむほどでした。
(常に妻に温かい、トゥルーベルの夫役の箙かおるさんも素敵だったなー)
 
逆に、イシちゃん(轟悠)は役作りにちょっと疑問。(役作り?演出?どっち?)
原作は見てませんが、ダンスニー(轟)はもっと誠実で純朴な感じであるべきだったのでは?
前半のダンスニーには、コミカルな要素があって、そういう役どころかと思っていると、
終盤ヴァルモンに「決闘だ!」といきなり二番手っぽく立ちまわってくる。
見てる方は「え?そんなキャラ?」と戸惑ってしまいます。
この重い舞台の息抜きは、
とうこちゃん(安蘭けい)やまひるちゃん(紺野まひる)が担ってくれているので、
イシちゃんの役はあそこまで軽いテイストじゃなくてよかったんじゃないかな、と思います。
 
セシル役の貴咲美里ちゃん。
揺れる心情が分かりにくくて、共感しづらかったです。
ただ流されてるだけに見えてしまいました。
確かに難しい役なんですけどね、
巧く見せられれば、おいしい設定でもあるので残念でした…。
 
タカコ(和央ようか)ジェルクール伯爵。
髭が似合ってない、年配の役に無理がある。
でも、そんな役でもどこか受け止めてる感がある…。
不思議な役者さんだなー。
決して芸幅が広いとは思わないのですが、
許容力があるというか、意外とどんな役もやってしまうイメージです…。
うまく言えませんが、感心してます(って、偉そうですみません~・汗)
 
脚本としてみたら、あまり好きな話ではなかったんですが、
この難役をこなすトップコンビさん(+ユリちゃん)を見るのは面白かったです。