駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『階段途中のビッグ・ノイズ』 越谷オサム

図書館でばったり目があって、予約本抱えてたのに思わず借りちゃった本。
でも一気に読んじゃいました。
 
もう青春王道小説!王道万歳!!
ド直球なベタな作品ですけど、大好きです、こういうの。
青春モノはこうでなくっちゃ!

<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
軽音楽部の廃部を取り消せ!優柔不断が玉にキズの神山啓人は、猪突猛進型幽霊部員の九十九伸太郎に引きずられて行動を開始する。目指すは文化祭での一発ドカン!!のはずが…。周囲の冷たい視線、不協和音ばかりの仲間達、頼りにならない顧問。そこに太ももが眩しい同級生への恋心も加わって─。啓人達は見事にロックンロールできるのか。

廃部寸前の軽音学部に、徐々に仲間が集まって、
悩んだり、ぶつかったり、恋したり、涙したりしながら、目標に向かって突き進んでいくわけです。
ただそれだけの話なのに、なんでこんなに面白かったんだろう?
不快要素がうまく消化できてたからかな?
青春モノでの障害っていえば、やっぱり「大人」との衝突ですよね。
ここでも彼らの前に何人かの先生が出てくるわけですが、
最初「大人」と「子供」で力関係がしっかり線引きされていたのに、
最後には立場関係がうやむやになってました。
先生が、自分と同じ人間に見える時。
それは高校生である彼らが、大人の世界に一歩踏み込んだ証かもしれません。
そういう過程もさりげなく書かれてたように思います。

作中で勇作が、吹奏楽部の顧問である林原先生の、王様然とした姿の中に自分の姿を見たように、
啓人は、ルールに縛られている森先生を見て、
生徒であり、後輩であるという「弱い」立場に縛られている自分の姿を見たのかも知れません。
伸太郎も森先生とのぶつかりあいで、
「先生」と「生徒」という関係を超えた、一対一の向き合い方を悟っただろうし、
徹も林原先生の言うことに疑問を持つことで、自分の考えを通すことを実行しました。
青春もの必須の、成長のストーリーですよね。
 
あと、仲間同士の友情を深めていく様も素敵でした。
主に、最初の部員である啓人の視点で語られるのですが、途中で他のメンバー達に視点が入れ替わります。
そうすることで、啓人目線ではない、
読者自身が彼らに交わっていくような親密感が生まれたのかもしれません。
 
そうやってぬるいお風呂に浸るように、この世界にじんわり馴染んできたところに、最後のあのライブ!
熱くなりました!もうたまりませんでした!
 
自分の、中学の文化祭を思い出しました。
同級生の男の子たちのライブ。
全然上手じゃなかったけど、すっごい楽しそうに演奏してて、見てる自分もすごく熱くなったのを覚えています。
技術云々の前に、演奏者の伝えたいものが観客にも伝わる音楽、
そんな熱くなれる音楽というものは、本当にいいもんですよね。
そんなことをしみじみと思いました。
 
「軽音楽部」のライブ演奏曲を聞いてみたくて集めてみました。
KISSとクイーンくらいしか知らなかったんですが、聞いてみて、「この曲でノリたい~」とすごく思えました。
とてもライブ向きな素敵な選曲ですね。
 
ROCK AND ROLL ALL NITE /KISS
http://www.youtube.com/watch?v=Env5iMrBjws

 
最後に。
豪快すぎる亜季ちゃん、あり得ないけど、すごく好きでした~(笑)
伸太郎も暴走振りも大変ツボでした。
面白かったです。
 
星は四つです。こういうの弱いんです~。
暑くて嫌になっちゃう季節ですが、この本は今にこそおススメかもしれません。
階段途中の暑さを、肌で体感しながらの読書でした(笑)