駄文徒然日記

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『風の海 迷宮の岸』上・下 [十二国記] 小野不由美

十二国記シリーズの再読です。
ネタばれしてますので、未読の方はご注意ください。
 
戴の国の泰麒が主役のお話。
麒麟が生まれ育つ過程が色々詳細に書かれています。
どこからこんなこと思いつくんだろうと思いながら、面白く読みました。
十二国のシステムと言い、一から作っていくのは大変な作業だったろうなーと感心してしまいます。
まあ、それがファンタジーなんですけどね。
 
麒麟は、仁にして慈愛の深い生き物だと書かれてますが、蓬山の至れり尽くせりのシステムを見ると、
そこで育てられた麒麟は、それはもう慈悲深い生き物になるんでしょうと思えますね(^_^;)
(もともとの性質もあるんでしょうけど)
泰麒は、異世界で育ったから、麒麟らしい麒麟になれなくても仕方ないのでしょう。
日本でよそ者扱いされ、本来の世界でも馴染めず、苦しみ続けなければならない泰麒は、不憫でした。
うじうじしてじれったいなーとも思わないではなかったですけどね(苦笑)
 
この本では、いろんなキャラクターがよく立ってて面白いです。
 
驍宗様はなかなか面白い方です。一見非常にカッコいいのですが、どこか微妙なズレがあるんです。
王と認められたシーンとか、泰麒の告白を聞いた反応とか。自信過剰すぎ??
そんな、自分の持つ大きな器より更に大物ぶってるところが、密かに可愛く思えてしまいました(笑)
 
李斎は素敵です。
分を弁えていて、並みの男を凌ぐ技量を持ちながらも、女性らしい配慮も忘れないところなど完璧!
騎獣狩りでは、精神的にちょっと脆い部分も見せてくれて、とても魅力的でした。
 
景麒は…あの至れり尽くせりの蓬山で真っ当に育ったはずなのに、
あの不器用な性格は不思議ではないかと…(笑)慈愛や仁はどこに隠してるんだろう(笑)
でも泰麒とのデコボコぶりは可愛かったですね。今後の陽子とのやり取りも楽しみです。
 
延王は…あの茶番はなくてもよかったんですよね?やりたかっただけですよね??(笑)
でも延王は、華があって、出てくるだけで存在感があって素敵です。
勝手気ままにやってそうでいて、節度はちゃんと守るタイプ(だと思う)。
さすが500年王様やってきただけありますね!
六太とのやり取りも二人若々しくて、とても500年の年月を感じさせないとことかいいですね(笑)
 
一番好きなシーンは、泰麒が初めて折伏するところ。
折伏について、景麒から説明を受けても分からなかった泰麒同様、どんな感じ?と思ってたのですが、
実際折伏する描写で「こういうことかー」とそれなりに泰麒と同調できて面白かったです。
自分が折伏したみたいで気分良かった(笑)
その後のトウテツの姿にも笑っちゃいました。
 
麒麟の出生や王の選出について、そして泰果などの描写によって、
十二国の世界観がさらに詳細なものになり、色鮮やかになっていくようです。
本が時系列で並んでないので、端々に漏れる言葉が色々匂わせていて、あれこれ気になってしまいます。
 
星は四つ。世界の作り込みにほんと感心します。キャラもたってて面白い。
唯一の難点は発刊ペース…。もったいないからちびちび読み進めていこう~。