駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『武士道エイティーン』 誉田哲也

武士道シリーズ(?)三作目。
大好きなシリーズです。でも今回三部作と思って読んだら、ちょっと違和感。
よく考えたら、二人の成長は前回で描き切ってるから、今回は二人メインの話には成りえないんですよね~。
だからなのか、サイドストーリーが満載の今回の作品。
脇役が主役のサイドストーリーがかなりしっかり描かれているので、
読んでいくと話題があちこちにいく読みにくさも感じるんですが(特に最初の方)、
最後まで読むと全体的には上手に絡めてて、すっきりとした読後感を味わえました。
 
緑子のお話は、全然「武士道」と関係ない恋愛話だけど、面白く読みました。
ありがちな話なんですが、最後ちょっと切なかったな。
玄明先生のお話は深かった。これ一本で本一冊書けるんじゃない?って思うほど。
「武士道」の裏と表が描かれています。別の話とリンクしてる部分にちょっと震えました。
吉野先生のお話は「武士道」と「暴力」。格闘技をやるからには避けられない問題かもしれません。
力が暴力に変わる一線があるということを描いていて、
だから武道は精神も厳しく鍛えられるのだなと実感しました。
美緒の話は、香織と早苗、そしてレナを外から見る視点で描かれていて本編を多角的に見せてくれます。
主人公でなくったって、誰しもドラマを抱えていて、日々何かと闘ってるんですよね。
 
香織と早苗。前作までで、自分自身、そして周りが見えてきたからでしょうね。
すっごく安定していて、心地よく読めました。
香織は「武士道シックスティーン」の時からは考えられないほど成長してて(笑)感慨深かったです。
ますますカッコよくなったなー、って女の子に対しては褒め言葉にならないですけど…(苦笑)
早苗も「不動心」にさらに磨きがかかって、マイペースぶりも無敵感すらあります(笑)
レナも刺々しいのがなくなって、素敵なライバルになりましたねぇ。
 
とても面白く読み終えました。
これで終わっちゃうのかなー?
出てくるキャラクターたちが大好きなので、なんかいつまでも読んでいたい気もします。
星はちょっとおまけで四つです。
(これ単品で評価するとちょっと散漫な気もするのですが、前作から続けて読めば納得の出来かと…)
 
余談ですが。
私は福岡に住んでるので、早苗サイドの話や、吉野先生の話など、
知ってる所がわらわら出てきて非常に親近感湧きました。(「悪人」の時もそうでした~)
西新界隈の描写とか、よく知ってないと書けなそうな描写もあったんですが、
誉田先生、福岡に縁があるのかなぁ?
あと方言ですね、かなりこてこての博多弁でしたけど、
他の地域の方は理解できたのかなーとちょっと不安に思ったんですが…。
私でも視覚からはちょっと読みにくくて、声にしながら読んだりしてました(笑)