駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『トッカン 特別国税徴収官』 高殿円

とても読みやすくてするーっと読んじゃいました。
高殿さんの作品初めてだったんですけど、ラノベ書かれてたんですね。
だからかな、有川作品を読んでるような感じでした。
特に主役の二人が、読んでて『図書館戦争』の二人に重なりました。
こちらの作品の二人もなかなかいいコンビです。
 
<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
税金滞納者から問答無用で取り立てを行なう、みんなの嫌われ者―徴収官。そのなかでも、特に悪質な事案を担当するのが特別国税徴収官(略してトッカン)だ。東京国税局京橋地区税務署に所属する、言いたいことを言えず、すぐに「ぐ」と詰まってしまう鈴宮深樹(通称ぐー子)は、冷血無比なトッカン・鏡雅愛の補佐として、今日も滞納者の取り立てに奔走中。納税を拒む資産家マダムの外車やシャネルのセーター、果ては高級ペットまでS(差し押さえ)したり、貧しい工場に取り立てに行ってすげなく追い返されたり、カフェの二重帳簿を暴くために潜入捜査をしたり、銀座の高級クラブのママと闘ったり。税金を払いたくても払えない者、払えるのに払わない者…鬼上司・鏡の下、ぐー子は、人間の生活と欲望に直結した、“税金”について学んでいく。仕事人たちに明日への希望を灯す、今一番熱い職業エンターテインメント。
 
そうまさに「職業エンターテインメント」。
読書には、知らない世界を覗く楽しさってありますよね。
今回もあまり馴染みのない「徴収官」のお仕事を知ることができて、興味深かったです。
そのお仕事の重要性は何となく理解できますが、その強権力は知りませんでしたねー。
「おお、そんなにすごいのかー!」と読みながらびっくり。
ちょっとできすぎ感ややりすぎ感もありますが、そこは娯楽作品ということで、目をつぶって楽しむところかな。
最初こう思ってた人たちが実は…と最後に次々と明らかにされていく真相は、
良くできていたなと思います。
 
ぐー子が「女25歳」という等身大の悩みにぶつかって葛藤するところでは、
色々考えさせられるところがありました。
特に、芽夢にがつんと返り討ちを喰らうシーンで、ぐー子が他人を見る自分の視点を突き付けられたくだりなど。
ぐー子の反省点には私もどこか痛いとこを突かれる感じがありました…。
人間、「当たり前」と思ってる環境にいると、ほんと周りの人の立場が見えなくなっちゃうんですよね。
自分の立ち位置をきちんと自覚するということが、実はどんなに難しいことか痛感いたしました…。
 
文章や台詞のノリがよくてするする読めるんですけど、全体の構成には少々難ありかな。
最初読んで、短い事件がいくつもあるのかなと思うと、実は二章目からの事件がメインで、「あれ?」と戸惑い、
また最初のコミカルなやり取りから職業物で徹底するのかと思いきや、
途中、女の生き方みたいな深刻な話に行く流れで
「あれ?こんな話なんだ」とまたちょっと戸惑ってしまう読みにくさが少しありました。
そこは私の勝手な思い込みもあるので、非常に個人的な感想になるんですけどね…。
 
星は三つです。
四つでもいいかなーと思ったんですが、
キャラとか展開とかもうちょっと独創性があったらいいな、ということで今回辛めで。(え、偉そう…汗)
でもとても面白かったです。満足!