駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『四十九日のレシピ』 伊吹有喜

評判がいいので読んでみました。
で、評判通り本当に素敵なお話でした。
 
…だけど。
私のツボには入ってこなかったんですよね~(>_<)
多分、文章がすごくあっさりしてるからだと思います。
私は内面描写がうだうだ書かれてるのが好みなので(^_^;)、
淡々と進んでいく言葉に、ひきこまれることなく読んでしまいました。
それで人より感動が薄くなっちゃったのかな?
でもストーリーの運びは素敵で、
これを映画なんかでやられたら、きっと泣く、と思いました。
読みやすいし、人にはおススメしやすい本だと思います(^^)
 
<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
熱田家の母・乙美が亡くなった。気力を失った父・良平のもとを訪れたのは、真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。乙美の教え子だったという彼女は、生前の母に頼まれて、四十九日までのあいだ家事などを請け負うと言う。彼女は、乙美が作っていた、ある「レシピ」の存在を、良平に伝えにきたのだった。家族を包むあたたかな奇跡に、涙があふれる感動の物語。
 
乙美さんがすごくすごく素敵でした。
娘や旦那が語る彼女じゃなくて、中盤描かれる、喋ってる彼女がすごくキュートで、微笑ましいんです。
良平が大声で怒鳴るのに、最初私は嫌悪感を抱いていたのに、
乙美とのエピソード見た後では、良平が大声出すたびに微笑ましく思えてしまいました。
 
題材は、挙げれば暗いものばかり。不倫、不妊、介護など…。
浮気相手との修羅場のシーンなどもあるのに、このお話はずっとほのかな光の中にあるようでした。
登場人物の背景も訳ありが多くて、単純な家族の話ではありません。
血が繋がってるだの繋がってないだの、ドロドロしそうな設定なのに、
ストーリーはすごくシンプルに進められていくのです。
なんとも不思議な感覚でした。
人がなくなって、それからの四十九日を描く作品で、涙を誘われる場面がいくつもありますが、
それは故人をしのぶ悲しみによって引きだされる涙ではなく、
柔らかく心を受け止めてもらえるような温かさで溢れてしまう涙で、すごく心地よかったです。
(でも、私は泣かなかったんですけどね(^_^;))
 
私はまだ両親をなくしたこともなく、これで挙げられるような問題が身近にないためか、
すーっと読み進めてしまったのですが、登場人物と同じような問題を抱えた人には、
傷を優しく包んでくれるお話なのかもしれません。そして感動に繋がるのかな。
 
ラストは賛否両論に分かれそうです。
私は、とてもきれいにまとめすぎてるように感じられたので、もっと普通の終わり方が良かったと思いました。
あと、乙美さんのレシピはすごくほしいです。発売されませんでしょうか(笑)
 
星は三つです。
文章が私好みにもっと魅力的だったら、良かったんだけどなぁ。