駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『青天の霹靂』 劇団ひとり

前回読んだ「四十九日のレシピ」に続き、感動モノが続いてしまいました。
するとやっぱりなんだか比べちゃいますね。
構成などは「四十九日のレシピ」の方が断然上。
でも、文章は劇団ひとりさんの方が胸に届いてくるんですよね~、私の場合。
劇団ひとりさんは、前作に比べ、構成も文章も平易になっちゃって、それがちょっと残念なんですが、
でも言葉のセンスや間合いはやっぱり好きだな、と思いました。
好みの問題ですけどね。(私、ダメダメだから共感しちゃうのかな~(^_^;))
 
(ネタばれありです(^^ゞ 未読の方はご注意くださいね)
 
「青天の霹靂」…意味:予想もしていなかった突然の出来事が起こったり、思いもよらぬ衝動を受けること。
だけじゃなくて、ほんとにそのまんまでしたね(笑)
自分に言い訳して、のらりくらりやってきたら、
気づけば「普通」が遥か遠く手の届かないものになっていたという晴夫。
その一人語りには私の胸もどこかサクサクやられちゃいました…。
(なんにも努力してないのに、「特別」を期待しちゃうこと、ありましたもの…(^_^;))

そんな泥沼状態の時に、無条件で全面肯定してくれるような両親の存在ってのは大きいと思うのですが、
彼にはそれがもうありませんでした。
失ってから大切なことに気付いて、初めて後悔を覚えるわけです。
でもそれは父への歩み寄りへの一歩だったと思います。
そしても父親も実は彼に一歩歩みだしていたんですね。

ずっと向かい合わなかった二人が、ようやく内へ踏み出した一歩を、
お母さんはずっと待っていたのかもしれません。
晴夫に奇跡を起こしたのは、きっとお母さんだったのでしょうね。
最後悦子は、赤ちゃんでない方の晴夫に、名前を呼び掛けますからね。
そして父・正太郎が作った不細工な花にあてた
「私を喜ばせるためだけに一生懸命咲いた花」というメッセージを、晴夫にも伝えたかったのでしょう。
 
そして親子で交わされる「ありがとう」の言葉。
この本で読んで、子は親に産んでくれたこと感謝し、親は子に生まれてきてくれた事に感謝するのでしょう。
じんわり温かくなるお話でした。
ベタで王道で目新しいものはないんですけどね、だけどちゃんと届いたからいいんです。
 
星は三つ。
残念ながら、前作を超えたようには思えなかったのですが、
でも芸人本ではなく立派に作家さんの本になってると思いました。
 
余談。途中出てくる「たけ坊」は、たけしさんなんだろうなぁ(^^)