駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『花散らしの雨─みをつくし料理帖─』 髙田郁

先日読んでとても気に入った「みをつくし料理帖」シリーズの二作目です。
今回も、本当に心地いい読書ができました。
やっぱりいいなぁ、このシリーズ。
今回は前回に比べると、物語の起伏がますますゆったりで、これといった大きな進展はないのですが、
物語の中で流れる空気が非常に心地よくて、主人公・澪の泣いたり笑ったりにそっと共感しておりました。
 
<内容紹介>(出版社HPより)
元飯田町に新しく暖簾を揚げた「つる家」では、ふきという少女を下足番として雇い入れた。早くにふた親を亡くしたふきを、自らの境遇と重ね合わせ信頼を寄せていく澪。だが、丁度同じ頃、神田須田町の登龍楼で、澪の創作したはずの料理と全く同じものが「つる家」よりも先に供されているという。はじめは偶然とやり過ごすも、さらに考案した料理も先を越されてしまう。度重なる偶然に不安を感じた澪はある日、ふきの不審な行動を目撃してしまい――。書き下ろしで贈る、大好評「みをつくし料理帖」シリーズ、待望の第二弾!
 
じわじわと沁み入る人情ものです。
出てくる人たちがいい人ばかりで、出来すぎ感はありますけれども、
それが物語の雰囲気にとても合ってるので私は好きでした。
今回の小さな進展としては、「澪の恋」が仄めかされてきます。
焦らすようにぽつぽつと描かれる様が私には心地よかったです。
お料理と人情のこの話の雰囲気を壊さないように、じれったく進む恋語りがいいんですよねー。
澪が自分の恋心に気付き始めるのに、その当人がなかなか出てこなくて、
主人公と一緒に心待ちにさせられました。その、疑似恋愛気分がたまらない(笑)
本命以外にも素敵な殿方が色々いらして、あちこちで密かにときめいておりました(笑)
そういう部分は少女マンガチックで、読み手によっては好き嫌いが出るかな、と思うんですが。
 
このお話の中で、侍が胡瓜を食べない、というお話が出てきます。
博多祇園山笠」という福岡の有名なお祭りでも、山笠の間、関係者は胡瓜を食べないんですよ。
祇園のお祭りはどこもそうなんですかね?
そう言えば、山笠の季節が近づいてきたなーなんて思い出して、ソワソワしちゃいました。
 
星は四つ。
お話的に落ち着いてしまったのと、少女マンガテイストを好まない人も出てくるかなと思って、
前作から星を一つ減らしました。それでもおススメなのには変わりないです。
心地よい読書を楽しみたい時には是非!