駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『動的平衡』 福岡伸一

普段読まないジャンルですねー。
でもちょっと前に名前は良く出てましたよね。
本屋さんでぱらっと立ち読みしたら面白そうだったので、借りてみました。
(素人の感想ですので、細かいとこは見逃してくださいね…(^^ゞ)
 
完全文系の私ですけど、高校の教科で生物だけは好きだったんですよー。
(文系といいながら英語はさっぱりだし、国語も古典や漢文は全滅でしたけどね…(^_^;))
脳の話とか、DNAとか遺伝とか、食いつきいいんです(笑)
教科書レベルの知識しかないですけど、そんな私でも難しくなく楽しめる本でした~。
 
タイトルを見て、「動的平衡」たるものがあれこれ語られるのかと思ったら、そうではなく、
生物学のいろんな話を面白く書かれてる本でした。
動的平衡」については最後の章でくわしく描かれてるだけで、
それまでは言葉だけちょこちょこ出てくる感じですね。
ちょっと不思議な構成だなと思ったら、雑誌で連載したエッセイをまとめたものらしいです。
道理で話題があちこち飛ぶわけだ。
でもなかなか興味深い話題ぞろいで面白かったです~。
高校生なんかが読んだら、生物の授業がもっと面白くなるんじゃないかな?

<内容紹介>(Amazonの紹介文より)
生物と無生物のあいだ』の福岡伸一、待望の最新刊。「時間どろぼうの正体」「太らない食べ方」「生命は時計仕掛けか?」「病原体とヒトのいたちごっこ」「アンチ・アンチエイジング」ほか10年におよぶ画期的論考の決定版!
哲学する分子生物学者が問う「命の不思議」
生物を構成する分子は日々入れ替わっている。
私たちは「私たちが食べたもの」にすぎない。
すべての生物は分子の「流れ」の中の「淀み」なのである。
しかし、その肉体、タンパク質の集合体に、なぜ「いのち」が宿るのか。
遺伝子工学、最先端医学は生物を機械のように捉えていないか。
生命の「背景」にある「時間」を忘れていないか。
いったい、生命とは何なのか。哲学する分子生物学者が永遠の命題に挑む!
 
専門的な内容を扱いながら、平易な文章で、素人にもわかりやすく、
かつ、普段の生活にも活かせる知識などもあって、ヴァリエーション豊か。
生物学入門編といった感じです。
 
人体は宇宙と一緒でほとんど解明できてない神秘ですよね。
この本では、その神秘の答えが描かれるわけではありません。
生命にまつわる疑問をいくつも投げかけ、一つの考えを提示してくれるのです。
その考えは、生物学にあまり馴染みのない私には、
かなりショッキングだったり、想像以上にダイナミックだったりして、目から鱗な感じでした。
以下の疑問に興味ある方で理屈で納得したい人は、一読の価値ありですよ。
 
「記憶とは何か」「大人が感じる1年と子どもが感じる1年が違うのはなぜか?」「人間は考える管である」
「ドカ食いとチビチビ食い、どちらが太りやすいか」「遺伝子組み換え作物は安全か?」
「ガンを制御できるか?」「ミトコンドリアから辿る人類の祖先」等など。
 
福岡先生の出す答えは、すごく納得いくものもあり、受け入れにくいのもあり、
それは読み手によって様々だと思いますが、どれもインパクトがあって非常に面白いものでした。
中でも、受精卵の細胞分裂の形が不思議だなーと思ってた私にとって、
「人間は管」という答えはすごく納得いくもので、ガツンとやられたり、
ミトコンドリアってベツモノ?ナニモノ?と教科書では曖昧だったものが、
ここで説明されててすっきりしたりしました。
 
特に「動的平衡」の考え方は、人体以外でも幅広く活用できる考えだと思うし、
細胞は日々入れ替わるもので、人体は機械のようなパーツの集まりではなく、
時間の流れの中で存在する生命体であるという考えは、非常に興味深かったです。
生物学を超えて哲学的にも思えますね。
 
余談。最後の若冲の絵も印象的でした。
若冲と言えば、細胞が集まったような絵も描いているので、まさにふさわしいなーと思った次第。
(取り上げられてた絵は違うものですけど)
 
星は四つ。脳みそに刺激を与えてくれる良い本だと思います(^^)