駄文徒然日記

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『小袖日記』 柴田よしき

源氏物語が元ネタということで、手に取った本です。
とても面白く読みました。
ただラストの章だけが受け入れられなかったなぁ…。
 
<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
不倫に破れて自暴自棄になっていたあたしは、平安時代にタイムスリップし、『源氏物語』を執筆中の香子さまの片腕として働くことに…。平安の世も、現代も、女は哀しくて強い―。「夕顔」「末摘花」「葵」「明石」「若紫」をめぐる物語。
 
柴田さんは源氏物語を元にフェミニズム論とか語りたかったのだろうけど、
私は肌で感じる平安ワールドと、源氏の裏話的な創作物語が楽しかったので、
ラストのSF&フェミニズム話で締めくくる「若紫」の章は、テンション下がっちゃいました・・(^_^;)
好みの問題ですかね?
最後だけじゃなくて、途中にもちょこちょこ描かれるSFにまつわる描写は、
結局あまりすきっとした解決もなくて、もやもやと残っちゃいました…。
最初にタイムスリップした以上、それを締めくくらないといけないわけだけど…うーん。
タイムスリップものって、行きはよいよい帰りは…じゃないけど、行きはさくっと飛んじゃうのに、
帰るのがいつもすごく大変ですよね…(^_^;)
 
平安文化がすごく詳細に描かれてるのが好みでした。
現代感覚で説明してくれるので、とてもわかりやすい。
衣装とか、歩き方とか、当時のにおいの雰囲気まで、生活感あふれる描写で、平安時代を疑似体験。
ああ、当時はこんな感じだったのかな?とかいろいろ想像できて楽しかったです。
 
源氏の中の有名エピソードを元にしたそれぞれのお話は、
元ネタからはかなりぶっとんだ創作がなされており、それがこの話と妙にマッチしていて、とても楽しめました。
特に原作で六条御息所を苦手にしていた私には、
そのイメージを覆す「葵」のお話はかなりじーんときてしまいました。

どのお話も良く練られていました。
怨霊物の怪がはびこるこの世界で起こる不幸な出来事を、
タイムトリップした主人公が現代医療の観点から解き明かしたり、
あり合わせのもので現代のデザートを再現したりして、その大胆ぶりが痛快でした。
 
ただ最後が…「若紫」にどんなオチをつけてくれるのだろうと楽しみに読んでいたら、
どんどん雲行きが変わっていって、話が全然別方向に向かってしまって、
ついていけない私は非常に残念でした…。
 
星は三つ。途中まではこれは星四つだー!と思って楽しんで読んでいたのですが、
ラストの章が好みではなかったので、一つマイナス(>_<)
でも途中までは本当に面白かったです。
できればこの設定で、他の源氏物語の話も読んでみたかったです~。
 
余談。
この本を読んだ後、神社でお祓いをする機会があったんです。
そしたら神職の方の衣装とか振舞いとか祝詞を読む声とか、
「平安チックだー」と思って、見惚れてしまいました(^^ゞ
蹴鞠できそうなくつを履いてるんですよねー。色々面白かったです。