駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『夏天の虹─みをつくし料理帖─』 髙田郁

みをつくしシリーズ、7冊目です。

すみません、ネタばれでしか感想が書けません…。
これから読まれる方は、この記事は読まれないでくださいね。
 
 
 
最後の衝撃にどーっと理不尽さが襲ってきました。
今までも色んな災難が澪に降りかかってきたけど、こんな理不尽なのって覚えがないです(>_<)
これまでの辛いあれこれも、澪が苦さを噛み砕くように少しずつ受け入れてくれて、
じっくりと描いてくれたから、読み手としても苦労続きでも読んでこれました。
でも、今回の表題作の出来事は唐突過ぎて、なのに物語は淡々とサクサクと進んでしまって、
なんだかすごく取り残された感がありました。
物語の登場人物たちは事実を受け入れて前を向き始めますが、私はその事実を受け取り損なって、
あれ?あれ?という感じですごくちぐはぐ感を感じてしまったんですね…(>_<)
このシリーズでこんなこと初めてかも。
彼に起こったことをあまりにさらりと描いたのは、今後ひっくり返る可能性があるってことですかね?
だったらこの展開も受け入れられるんですけど。
 
まあ、どうなるにせよ、彼のことは今後の展開に大きく影響を与えてくれないと、
今回の災難の意味がありません。
髙田先生のことですから、ただのお涙ちょうだいの安易な展開ではないと信じてます。
今回の巻では、澪と野江がそれぞれ共に大事な人を失ったということになります。
そういうことと今後の身請けの話とかが大きく関わってくるのかなぁとも思うんですけどねぇ。
 
とまあ、ラストの章では色々もやもやが残ってしまったんですが、
三章まではほんとしみじみと「好きだなー。このシリーズ」と思えるお話でした。
もちろん、澪の苦労は絶えず、涙涙な展開なんですけど。
とりあえず恋は振り切って糧にして、料理と夢に向かっていくわけですけど、
ただ美味しい料理を作ればいいわけじゃない。
そうじゃなくて、人生における「食」と言うことに向き合っていく展開は、さすがだなーと思います。
食べる楽しみ、料理を盛る器、料理を他の人に伝えていくこと(今後ふきちゃんも料理を始めるのかな?)、
技術だけではなくて、料理を高めていく過程って色々あるんだなーと思いました。
 
今まで年に二冊出ていたこのシリーズ、次回は一年先になるようです(T_T)
今回の「悲涙」たちを、がっつり一掃してくれる展開を望んでいますよ~。