駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『アライバル』 ショーン・タン

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震災後に、話題になった有名な絵本。
遅ればせながら手に取ってみました。
 
ああ、さすが評判通り。もうこの本の存在自体が圧倒的で、いろんな枠を超えています。
台詞や文字が全くない、セピア色の絵のみのストーリー。
でも実に細かく描かれた絵からは、音も色も感触も五感に訴える様々なものが溢れています。
マンガのコマ割りのように進むページや、見開きで描かれるページがあり、
そのリズム、カメラワークの変化、表情の切り取りが抜群にいいんです。
もう良質の映画を見てる気分になります。
 
内容は不可思議で疑問符だらけで話が進みます。
最後のあとがきを読むとテーマは分かるのですが、細かい部分は各々想像して楽しむ本みたいですね。
最近、ちょうど不可解な本続きだったせいか、前だったら答えの出ない話はあまり好みじゃなかったけど、
その世界に身を委ねる楽しさがわかってきたみたいです。
完成された世界ならば、細かいとこがわからなくとも十分に堪能できるものなんですね。
細かく書き込まれた絵には、いろんなヒントがばらまかれているようで、食い入るように見てしまいました。
これは何度も何度も楽しめる本でしょうね。
 
衝撃的なシーンもあったりして、展開のすごさにやられます。
なんなんだ、これは。なんなんだ、これは。
その逆に、マンガみたいな癒し系キャラクターも出てきます。(表紙にいる生き物です)
人物はリアルなのに。
でもそれらが違和感なく、同じところに溶け込んでるから不思議。
 
恐怖や不穏な背景がありつつも、じわっと温かみのあるお話。
この記事だけではどんな本か全くわからないでしょうから、どうぞ手に取って確かめてみてください。
本屋でぱらぱらっと見るより、部屋で一人でじっくりページをめくってもらいたいです。
でも結構大きな本なので、買うのにはちょっと躊躇してしまうんですけどね。
(私は図書館で借りてしまいました。でも手元に欲しいかも…)
リボンの栞もついていて、装丁もとっても素敵です(^^)