駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『少女は卒業しない』 朝井リョウ

またまた朝井さんの本です。
今度は女子高校生が主人公の連作短編集。
 
女子目線、ほんと巧いですからね、朝井さん。
おばさんな私には、イマドキの女子高生についてはよくわかんないけど、
でも多分リアルにこんな感じじゃないのかなぁ?会話部分とかすごく今っぽさを感じるし。
そういうリアル女子高生の生態にドキドキしてみたり、
私の頃と変わってない女子の気持ちを思い返したりの読書でした。
 
<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
今日、わたしはさよならする。図書室の先生と。退学してしまった幼馴染と。生徒会の先輩と。部内公認で付き合ってるアイツと。放課後の音楽室と。ただひとり心許せる友達と。そして、ずっと抱えてきたこの想いと―。廃校が決まった地方の高校、最後の卒業式。少女たちが迎える、7つの別れと旅立ちの物語。恋愛、友情、将来の夢、後悔、成長、希望―。青春のすべてを詰め込んだ、珠玉の連作短編集。 「エンドロールが始まる」「屋上は青」「在校生代表」「寺田の足の甲はキャベツ」「四拍子をもう一度」「ふたりの背景」「夜明けの中心」の七編。
 
「エンドロールがはじまる」は最高でした。もうこれぞ王道少女マンガ!!
女子高生の先生への仄かな片想いという、少女マンガ好きにはたまらないシチュエーションと、
朝井さんの繊細な心理描写は、もう最強タッグです!
もうずっときゅんきゅんしまくりでした。
私の学生時代、こんな素敵な先生はいなかったけど、私の同級生が先生に恋をしていたのを思い出しました。
多分彼女は、その恋が成就するなんて思ってなくて、だけど結末なんて関係なくて、
今胸にある「好き」という想いだけで恋してました。
それはすごく真っすぐで純粋な想いで、そこまで一生懸命になれる彼女を眩しく、羨ましく思ってました。
そんなことを思い出した短編でした(^^)
 
その他も、優等生、バスケ部の部長、生徒会などなど、いろんな立場の女の子が語ります。
 
でも、ちょっと言いにくいのですが、
私は朝井さんが感動系に走るとなぜか気持が冷めちゃうんですよね…(^_^;)
「チア男子!!」とか「星やどりの声」とかがちょっと物足りなかったみたいに…。
今回も、作りごとめいて感じられた部分があって、
とてもよくできたきれいな話だけどちょっとハマりこめなかったかな…(^^ゞ
障害、死などの題材はちょっとリアルさを欠いてる気がして、イマイチ受け入れにくかったです。
在校生のスピーチもなぁ、ちょっとどうかな…って私、心が狭いかしら??

朝井さんはなんてない描写で感動させられる人なので、狙った感動は必要ないです、
と個人的な好みでそう思っちゃいます。おそらく少数派な、自分な勝手な意見なんですけどね(苦笑)
 
だけど、廃校になる学校の卒業式の一日を、
いろんな視点、様々なタイプのお話で描かれているのは、さすがです。
デビュー作からそうでしたけど、連作短編の絡め方は本当に巧い。
私は、朝井さんの繊細な描写に惹かれたせいで、ついあれこれ自分の好みを言ってしまうんですが、
今、色々書かれてるみたいに、これからもいろんなタイプの話作りに挑戦していただきたいです。
まだ若いですからね。可能性は無限大です(^^)これからもずっと応援していきたい作家さんです!
 
あと個人的に失敗したな、と思ったのは、「千年ジュリエット」の後に読んだこと。
学園モノ、文化祭、生徒会、ヘビメタライブ、花火…などなど、
重なる描写がいくつかあって、混乱してしまいました…(^_^;)
似た系統の本を続けて読んではいけませんね…反省。
 
星は三つです。
近いうちに朝井さんのエッセイも読む予定(^^)こちらも相当面白そうなんで楽しみ。