駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『銀河英雄伝説6 飛翔篇』読みました(^^)

前巻「風雲篇」からの「飛翔篇」と言うからには、なんか華々しく飛び立つような展開を期待していたのですが、
思ったより全体的に泥臭い感じでした(^_^;)
今後、飛翔するための巻、ってことかしら??
 
<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
今や至尊の冠を戴く存在となったラインハルトを襲う暗殺事件。各処で暗躍する“地球教団”の差し金と知り、ラインハルトは彼らの聖地たる地球に軍を派遣する。一方、悠々自適の退役生活を楽しむヤンも、己の周囲に監視網が巡らされていることに気づく。やがてある日、彼の元を黒服に身を包んだ男たちが訪れた。一度は平穏の時を迎えた銀河は、再び動乱に呑まれようとしていた。

 
この作品は、序章や一章目にやたら説明的な文章が占めることが多い気がします。
それで、読み始めにすっごく時間がかかるんですよね~。
毎回冒頭部分に、一冊の読書時間の三分の一くらいかけてんじゃないかと思います(笑)
で、読みながら思うのは、それだけ読むのに時間がかかるのは、
ものすごく濃縮された内容が込められてるからなんですよね。
そこでは作中での現在じゃない過去話とかが語られるわけですけど、
ほんと詳細に作りこまれていて、惜しげもなくつぎ込んじゃうんだなぁって思います。
その数P分で立派に一冊書けちゃいそうですよね。

今回も序章で、「地球衰亡の記録」が書かれます。
歴史教科書を読むように淡々と書かれてるんですけど、結構なドラマが込められてるんですよね…。
その下地あってこそ本舞台がさらに映えるわけなんですけど、その膨大な作業に頭の下がる思いです。
でも作者さん、ヤンと張るくらい歴史研究が好きなんでしょうねぇ。
濃密に作りこまれてる様を見ると、楽しそうに作業されてる様子が思い浮かぶようです(^^)
(その序章の中に出てくる黒旗軍の英雄4人のうちの一人、チャオ・ユイルンはすごくヤンと重なりますね。
実は遠い先祖だったりするのかなぁ)
 
 
(この先ネタばれでの感想です…ご了承ください…(-_-))
 
 
 
5巻で無事結婚したヤンですが、ラインハルトはまだ独身です。
結婚をすすめる声も上がり始めていますが、ラインハルトは無視。
危うく殺しかけられたキュンメル事件でもそうでしたけど、
ラインハルトにとっては、常にその時に自分が満足いく選択をできるかどうかなんですよね。
もし自分が死んだらこの国はどうなるのかとか、そういう配慮は一切ありません。
だから自分の命より意志を貫き通すし、影武者なんか作りたくないし、
後継者のことなど考えないんですよね(^_^;)
そりゃ、周りが大変だわ…(苦笑)

彼の活動動機は、大切な姉とキルヒアイスのためのようですが、
それも彼らの意思ではなく、彼らにとって満足いくであろうという、自分の満足感を得るためのようにも見えます。
ひたすらに自己満足を貫くお人だなぁと思います(^_^;)
そんな超エゴイストっぷりも魅力なんですけどね(^^)
 
そして逆にヤンは非常に巨視的に物事を見てますよね。
過去未来と繋がる膨大な時間を生きる人々にとって一番良い方法とは、
と言うのを模索しているようですよね。
だから腐敗していようがなんであろうが、自分の信じる民主主義を曲げたくないんでしょうね。
前巻でラインハルトにあと少しというところまで迫っていながら、命令に従って攻撃を停止したのは、
そんな彼の確固たる意志にも思えます。
(ラインハルトの行う政治を否定しきれないから、というのもあるかもしれませんね)
とはいっても、この巻では、同盟のために死ねなんて言われて、素直に従えるはずもなく、
同盟に叛乱を起こす羽目になるわけですが。(この先が非常に楽しみなところ♪)
そのヤン奪還劇の中、シェーンコップの頼もしさは素敵だし、フレデリカの輝きようも惚れぼれしました。
料理で四苦八苦する姿より、ヤンを助け出して思わず泣いちゃうところの方が何倍も可愛かったな(^^)
 
ヤンにとって政治とは、国とか、信念とか、そういう抽象的なもののためではなく、
ひたすらに市民のために行うものなんですよね。
そういうことを繰り返し言っていて、田中先生の政治批判も彼の台詞の中に
ふんだんに込められてるのかなーなんて思いながら読んでます。
ラインハルトも「専制君主」と言いながら、世襲や利権に執着がなく、
理想の国作りを積極的に掲げるわけでもなく、
義務のように行い、効率の良さを重視した結果、善政となるのもなんか皮肉だなーとも思ってしまいます(^^ゞ
征服欲にかられる彼にとって内政は二の次なんですけどね。
はてさて、この善政もいつまで続きますやら…?
 
この巻ではロイエンタール絡みのエルフリーデとか、ユリアンサイドに登場のカリンとか、
重要そうな新キャラが何人か出てきてて、今後に大きく絡んでくるのかなーという感じです。
次巻も楽しみです(^^)