駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『あと少し、もう少し』 瀬尾まいこ

瀬尾さん、女性が主人公だとちょっと捻くれた感じなのに、
男性が主人公だと、女性好みな青春モノを書かれますねー。
今回もスポーツものですけど、汗臭くないです(笑)
とにかく爽やかで清々しい。
不良とか出てくるけど、田舎不良だからか、まだ中学生だからか、全然悪くなくて、素直で可愛いんですよね。
出てくる人がみんないい人。みんな素直でかわいい。
心には色々中学生っぽいモヤモヤを抱えてるけど、
それをして誰かに絡んでいくことはほとんどなくて、非常に健全な青春モノ。
中学生とかに読ませて、是非純粋に感動してもらいたい!
 
<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
あの手に襷を繋いで、ゴールまであと少し!誰かのために走ることで、つかめるものがある―。寄せ集めのメンバーと頼りない先生の元で、最後の駅伝に挑む中学生の夏を描くみずみずしい傑作青春小説。
 
駅伝って小説に向いてるんだなぁ、と改めて思いました。
話を繋いで、襷を繋いで、読み手はどんどん一緒になって走り出します。
襷に込められたたくさんのドラマ、重み、そして期待、そんなものをランナーと一緒に抱えて、
読み手も盛り上がっていくんですよね。
ランナー六人が一人ずつ回想しながら、全六章で物語が進んでいくんですけど、
やっぱ襷が渡る場面が一番ドキドキしました。
駅伝の襷は特別ですよね。箱根でも襷の場面だけで泣けます(笑)
 
いじめられっ子の設楽君、不良の大田君、頼まれごとは断らないジロー君、
吹奏楽部の渡部君、一人後輩の俊介君、そしてみんなをひっぱる桝井君。
どの子も真っすぐで純粋なんですよねー。
一生懸命、作ったり演じたりしてる自分キャラと、それを冷静に分析する内面描写のギャップがあるんですよね。
中学生って大人から見たらまだまだ子どもで、行動だけ見て未熟と判断されかねないけど、
その行動一つとっても実はいろんな考えがあっての結果で、中学生なりに一生懸命色々考えている。
顧問の上原先生は、そんな中学生たちを、大人目線で分かった気になったりしてないところがいい。
自分の力量も出番もちゃんと弁えてるところがすっごく大人だ。
だから、生徒たちも素直に駅伝と向き合えたんだろうな。
 
ただ、こういうきれいなお話に素直に入り込めない残念な私もいて…(^_^;)
素直すぎる展開に、ついつい突っ込みを入れてしまったり…(^^ゞ
中学生がこんなに自分のことをきちんと把握できてるのかな?とか思ってしまいました。
だって、みんな、すごく自分の立場を客観的に見て、弁えてるんですもの。
それがなんか理想の中学生像を描いてるように見えて、リアリティを感じられなかったんです。
それを言ったら、作者の瀬尾さんの方が中学生のことはよくご存じだろうから、
私のリアリティがずれてるんでしょうけどねぇ。
だけど、どうしても大人目線を感じてしまって、いまいち入り込めませんでした~><
 
星は三つです。素直な読者になれない私です…(^_^;)