駄文徒然日記

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『夢を売る男』 百田尚樹

久しぶりの百田さん。出版業界の裏側が見れるのかな、と興味を惹かれ借りてきました。
相変わらずの読みやすさに、さくっと読んでしまいました。
「永遠のゼロ」などとはだいぶん印象の違う、気軽に読める感じの作品です(^^)
 
<内容紹介>(出版社HPより)
永遠の0(ゼロ)』の百田尚樹、大暴走!!
最新書き下ろしは、出版界を舞台にした掟破りのブラック・コメディ!
◆あらすじ◆
敏腕編集者・牛河原勘治の働く丸栄社には、本の出版を夢見る人間が集まってくる。
自らの輝かしい人生の記録を残したい団塊世代の男、スティーブ・ジョブズのような大物になりたいフリーター、ベストセラー作家になってママ友たちを見返してやりたい主婦……。
牛河原が彼らに持ちかけるジョイント・プレス方式とは――。
現代人のふくれあがった自意識といびつな欲望を鋭く切り取った問題作。
「知っているか? 現代では、夢を見るには金がいるんだ」
 
自費出版」をメインで取り扱う出版社が舞台で、少し違うんですけど、
厳しい出版業界というのを描いてるというとこで、東野圭吾さんの「歪笑小説」なんかに似た印象がありました。
小説誌についてぶった切るところとかね。
内容紹介にもあるように、ブラックな話なので、いい人出てきませんねー(^_^;)
読んでて、苦笑いしか出てこない感じです。
 
この中で舌を巻いたのは、主人公である「敏腕編集者・牛河原」の巧みな話術。
昔仕事してた時、営業に向かな過ぎて、トラウマにまでなりかけた私としては、
牛河原の、顧客の言葉にすべて見事に切り返す話術や顧客をその気にさせる技術に
「すげー」と感心してしまいました。
(いや、いくら数字とれるからって、こうなりたいとは絶対に思いませんけど(^_^;))
こんなに全部もっともらしく返されちゃうと、騙されるなって方が難しいですね(^_^;)
オレオレ詐欺」なんかが横行しちゃうのは、
騙す方が、こういうテクニックにこちらの予想以上に長けてるってことですよね。
いやー、怖い怖い><
作家目指して小説を書いたり、自伝を書きたいと思ってる人なんかは、
騙されないように一度読んでおいた方がいいですよー。
(作中ではブログやってる人にも声かけてました~)
 
実在する作家や賞を彷彿とさせる文章にドキッ。
あんまり普段出版社とか意識せずに本を読んじゃうんですが、
そんな鈍い私でも「そんなこと書いて大丈夫?」と思ってしまうほど。
ただ、本読みとしては、胸の痛いことや、あんまり知りたくなかったことなどもありました。
「~の裏側」とかって、つい覗きたくなる人間の心理があると思うんですが、
あまりむやみに知りたがるものではないですね…(^_^;)