駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『暗黒女子』 秋吉理香子

新聞広告で見かけて気になった本。
ちょっと思ってたのとは違ってたけども、面白かったでーす(^^)/
イヤミス」とか言われたりしてるけど、私はそうは感じなかったんですよね。
ですので、「イヤミス」を期待した人はちょっと拍子抜けするかも。
 
<内容紹介>(出版社HPより)
聖母女子高等学院で、一番美しく一番カリスマ性のある女生徒が死んだ。
今晩学校に集められたのは、彼女を殺したと噂される、同じ文学サークルの「容疑者」たち。
彼女たちは一人ずつ、自分が推理した彼女の死の真相を発表することに。
会は「告発」の場となり、うら若き容疑者たちの「信じられない姿」が明かされていき――。
全ての予想を裏切る黒い結末まで、一気読み必至!
 
私が思う「イヤミス」って、マイナス面の人間描写にリアリティがあって、
嫌な感じで現実と重なってくるような作品なんですが、この作品にはそういうのは感じられませんでした。
だって舞台設定が、アニメか?ゲームか?って感じなんですもん。
まず本を開いてタイトルの次のページに、
1.開会のごあいさつ及び闇鍋ルールの説明 会長・澄川小百合
とあるわけですよ。
「え?闇鍋??」なんて戸惑いながら読み始めると、
クリスタルのシャンデリアやら、大理石のテーブルやらで囲まれたセレブ高校の豪華空間で、
似つかわしくない闇鍋を囲んで、文学サロンの会長の女生徒が語り始めます。
そのサロンの中心人物であったいつみの死をテーマに、
自作の「朗読小説」を読んでいこうという趣旨を説明しだすんです。
そして会員が一人ずつ、暗闇の中、蝋燭の光だけで、
いつみの死の真相に迫る自作の小説を朗読していくわけです。
セレブ女子高生が集まる文学サロンってだけで、もう別世界ですよ(^_^;)
だからブラックな内容もエンタメとして読んじゃいました。
 
最初は、変な設定だなーと思いながら読んだんですけど、読みだしたら一気読みでした。
最後がどうなるのか、気になって気になって。
湊かなえさんや沼田まほかるさんのような、ぞわぞわくる怖さってのはなくて、
作りこまれたミステリって感じです。
場違いに感じられた闇鍋の意味も、最後まで読めばわかります。
全体的にマンガチックな演出で、ドラマか舞台で見たら面白そうーって思いました。
 
この「朗読小説」では、文学サロンの会員それぞれが自分を主人公に、
いつみとのストーリーを展開するのですが、
それぞれを読み比べると、登場人物は共通のはずなのに、それぞれがまるで別人なんですよねー。
自作小説ってことで、その盛り具合が面白いです。
自分はかわいくけなげに。他人へは厳しめに、特に気に入らない人間はぶった切る。
過剰な自意識と羨望と嫉妬が込められた女子高生フィルター恐るべしって感じです(^_^;)
 
とっても読みやすくて、ラストのブラックなオチもリアルにあったら怖いんだろうけど、
そんなに後味悪く感じられませんでした。
気になった方、お気軽にどうぞ(^^)/