駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『神様の裏の顔』 藤崎翔

ふふ、面白く読みました(^^)/
最後の選評のところで、道尾さんがこの作品のことを「優等生」って言ってらしたけど、よくわかるな。
なんか読み手の事を考えて一生懸命な感じがあって、デビュー作らしからぬサービス精神がありました。
(デビュー作は独りよがりになりがちなイメージ…)
冗長気味な文章などデビュー作らしい不慣れ感もありましたけど、
どなたにでも楽しめる作品になっていると思います(^^)

<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
神様のような清廉潔白な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみに包まれ、誰もが涙した―と思いきや、年齢も職業も多様な参列者たちが彼を思い返すうち、とんでもない犯罪者であった疑惑が持ち上がり…。聖職者か、それとも稀代の犯罪者か―驚愕のラストを誰かと共有したくなる、読後感強烈ミステリ!!第34回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

上の内容紹介文は、ちょっと過剰気味なので(笑)、もっとエンタメっぽく気軽に楽しむといいと思います。
お葬式が舞台と言っても、作品の雰囲気も軽妙な感じで、そんな湿っぽくないですしね。
タイトルがうまいなーと思います。
どううまいかは、ネタバレになってはいけませんので、読了後に確認されて下さいね。

ミステリって、騙されるのを楽しみにして読むんですが、しかし簡単には騙されるもんかという警戒心も怠らず、
読者と作者との駆け引きが繰り広げられるものだと思っています。
なので、これも読みながら、こう言ってるけど、あーじゃないかこーじゃないかと、
なかなか素直に読まないんですが、それを飄々とかわされてしまった感じでした。
ちょっとしてやられた感…(笑)
クサいところが至る所にあって、それにいちいち引っかかるんだけど、
「やっぱそう!?」とか「あれ、違った?」とか翻弄されちゃうんですが、そういうのが楽しかったです。
最後、真相が明らかになるあたりでは、かなり強引な部分もあり、ツッコミどころもありましたが、
全体的にユーモア漂う感じなので、少々の不自然さは気になりませんでした。

複数の語り手がいて、それぞれ事件に関して語っていくわけですが、
それぞれ自分本位な言い分が読んでて面白かったです。主観と客観のギャップを楽しみました(^^)
誰しも、周りの人が持つイメージと違う「裏の顔」があるわけですよね。

きっとコント作りを散々されてきたであろう元芸人さんらしく、良く練られた作品だったと思います。

余談ですが。選評のところで道尾さんが挙げられていた、他の芸人さんの作品がとても気になりました。
いろんな芸人さんが本を書かれていたんですね~。