駄文徒然日記

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『給食のおにいさん 進級』 遠藤彩見

ううーん、ちょっと残念…。
前作(「給食のおにいさん」)を予想外に面白く読んだせいか、
今回期待して読んだら、前作よりインパクトが薄かったなぁ…。
キャラもストーリーも前作を踏まえていて、全体的に変わりないはずなのに、文章がなんだか読みにくかったり、
構成が中途半端に感じられたりで、全体的にパワーダウンした感じを受けました。


<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
「味より栄養」という制約だらけの給食作りに反発しながらも、やりがいを感じ始めた元一流シェフの佐々目宗。そんな時、学校で生徒の居眠りや優等生の登校拒否が問題に。給食で彼らを助けたい!と奮闘する宗に、なぜか栄養士の毛利は「君は給食のお兄さんに向いていない」と冷たく言うが…。「おかわり」の声に応えて、人気作が待望のシリーズ化!


この二作目を書くときにはもう三作目が決まってたのかな?
繋ぎの巻という中途半端さが全体的にあり、メリハリに欠ける気がしました。
あと構成が、前作と同じ季節の4編で描かれるのですが(といっても、単純に春夏秋冬ではないですが)、
前作は割とそれぞれの話にきちんと区切りがあったのですが、
今作は4編に分かれていても、長編を読んでるような感じでした。
解決しない問題がいくつもずるずる引きずられていたので、一編読み終えてもあまりすっきりできなかったなぁ。
そんな感じで、二作目だからこその違和感があちこちにあって、
面白く読むんだけど、ちょっと引っかかる部分もいくつかあって、はまりこみにくかったです。
(毛利さんもなんだか意味不明な感じになっちゃいましたしね…)

とは言っても、いじめ問題など、難しい問題に真摯に向き合い、
物語的に安易に片づけないとこにリアリティがあって、
そういう部分は前作同様興味深く読みました。
学校が舞台のこういう物語って、
主人公が立場以上に出張って解決に突き進むってのが定番だと思うんですが、
保護者に気をつかい(気を使ってるのは主人公の佐々目くんというより栄養士の毛利さんの方だけど)、
先生同士の上下関係の立場もあったり、子供の問題に安易に手を差し伸べにくかったり、
自分の意見を主張しづらい狭間の立場の微妙さが、全体的にとてもリアルだと思いました。
(一介の調理員の佐々目くんはもちろん口出しにくい立場なわけですが、
学校って存在自体が保護者と子供と社会の間に立ってて、
とても微妙な立場で難しいんですよね…先生たちも大変だ)

次巻で完結になるのかな?(サブタイトルが「卒業」ですしね)
今回はちょっと不満も残りましたが、好きなシリーズなのには変わりないので、最後まで読もうと思います(^^)