駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『花酔いロジック 坂月蝶子の謎と酔理』 森晶麿

文庫化にあたり、『名無しの蝶は、まだ酔わない 戸山大学<スイ研>の謎と酔理』を改題。
図書館で単行本の入荷を待っていたら、文庫で入ってきました。
なんにせよ、読みたかったので、入れてもらえてよかった!

森見登美彦作品を彷彿とさせる、どっぷりモラトリアムな大学生の物語。
わけわからんノリで、とりあえずいっとけなおバカな感じがね、まさに大学生。
…うう、身に覚えのある妙なフリーダム感だー><
ここんとこ、森さんの作品で不満ばかり言ってたけど、今作はやられたなぁ。
この作品、ミステリもそこそこで、話もグダグダだったりして、
例えば森作品を初読みの人にどうおススメしたらよいのかわからないような作品なんですが(笑)、
森さんの恋愛要素に弱い私は、「ベッタベタのきたよー!!」と個人的に浮かれまくりました(^^ゞ
最後の「雪酔いロジック」の展開の流れなんて、昔の少女マンガか!?ってくらいベタだったけど、
無駄に高尚っぽい(笑)、なんとも森さんらしい雰囲気がツボってしまうのか、
神酒島先輩にどきゅんとやられました。
ああ、私ってば単純…。


<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
戸山大学に入学した坂月蝶子は痩身の文学青年・神酒島先輩から声をかけられ、“スイ研”―酔理研究会に入ることに。そこで目にしたのは、数々の酒と恋と、日常の謎。新歓コンパや野球交流戦、月愛でる学園祭に雪の冬合宿と、移ろう四季の中で出合った謎を神酒島はするすると解いていく。酒に酔えない体質の蝶子だが、神酒島が読み解く謎の理は不思議な酔いの余韻を残していき…。切なくてじれったい、青春恋愛ミステリ!「花酔いロジック」「球酔いロジック」「浜酔いロジック」「月酔いロジック」「雪酔いロジック」の5編。


私も大学時代にバカな飲み会やったなぁ。
結構いける口だったばっかりに、調子に乗って冷酒ガンガン行ってひどい二日酔いを経験したりね(^_^;)
作中でスイ研(酔理研究会)が歌っているように「飲めば理が見える」かどうかはわかりませんが、
地というか本性というか、包み隠さない自分は出てきますね…(^_^;)
酔うということは、色々なものをそぎ落とす力があるのかもしれません。
結果、良かれ悪しかれ、ですけどね。
ふふ、後悔に苛まれた飲み会も数知れず…(遠い目)。

酒蔵の娘という蝶子ちゃんは酒に全く酔わない体質なのですが、
ミステリを絡めて花に、雪に、月に酔わされるという短編集。
酔うというのは自分の本音、そして相手の本音に近づく手段の一つなのかもしれません。
だからと言って、飲むことを基本ポリシーとしたこのスイ研のサークル活動のごとく、酔いつぶれてしまえば、
その醍醐味を大きく損なわれるような気がするのだけど…(^_^;)
まあ、モラトリアム大学生にそんな理屈言ったって無意味でしょうけどね。
そんな常識的な理屈を超えたところに、人の本当の理があり、酔い酔わせることでそこへ到達する、
…と、かっこよく言えばそんな話ですが、まあ、酔っ払いまみれでバカやってるグダグダさを楽しむお話です(^^)/

酒に酔わない蝶子さんを、いつの間にか雰囲気で酔わせてる神酒島先輩の言動に
うきゃーと悶えながら読んでました。後半の、二人の親密さが深まる盛り上げ方はもう反則です。
神酒島先輩と蝶子ちゃんが、黒猫シリーズの二人と被る気もしますが、ときめかせてくれればもう何でもいい!
森さん、本当にありがとう(笑)

続編、楽しみにしてます!