駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『ナイルパーチの女子会』 柚木麻子

ずいぶん前に読んだまま、感想を書かずにいたので、今さら何を書こうって感じです…(^_^;)
読み終えてすぐに記事を書かなきゃだめですねー…ってわかってるのに、できない私…><
まあ、そんな感じですのであやふやな記事になりますが、ご了承ください~。

柚木さんの「終点のあの子」が好きでした。女子のチクチクする感じがあちこちにあって、面白く読みました。
今回、表紙の装画が「終点のあの子」と同じ菅野裕美さんで、その表紙のブルーに惹かれて借りてみました。

今回は「女子会」と女子繋がりだけれども、レベルが全然違う~><
やっぱ大人女子は半端ねー!
チクチクどころじゃない。針なんて生易しいものじゃなくて、真剣で勝負し合ってるよ、怖すぎる。
もうホラーの様相でした(^_^;)
でも続きが気になっちゃって、どんどん読んじゃいました。気分良い話ではないですが、面白かったです。


<内容紹介>(amazonサイトより)
第二十八回 山本周五郎賞受賞! 
丸の内の大手商社に勤めるやり手のキャリアウーマン・志村栄利子(30歳)。実家から早朝出勤をし、日々ハードな仕事に勤しむ彼女の密やかな楽しみは、同い年の人気主婦ブログ『おひょうのダメ奥さん日記』を読むこと。決して焦らない「おひょう」独特の価値観と切り口で記される文章に、栄利子は癒されるのだ。その「おひょう」こと丸尾翔子は、スーパーの店長の夫と二人で気ままに暮らしているが、実は家族を捨て出て行った母親と、実家で傲慢なほど「自分からは何もしない」でいる父親について深い屈託を抱えていた。
偶然にも近所に住んでいた栄利子と翔子はある日カフェで出会う。同性の友達がいないという共通のコンプレックスもあって、二人は急速に親しくなってゆく。ブロガーと愛読者……そこから理想の友人関係が始まるように互いに思えたが、翔子が数日間ブログの更新をしなかったことが原因で、二人の関係は思わぬ方向へ進んでゆく。次第にエスカレートする執着と、一方的過ぎる考えと行動の強要――とても友情とは呼べない関係に二人が陥ってしまったのは、二人が出会ってはいけない同士だったからなのか……。
ナイルパーチ」とはスズキ目アカメ科アカメ属の淡水魚。淡白な味の食用魚だが、他の種を食べ尽くし、生態系を破壊するほどの凶暴性を持っている。「ナイルパーチ」だったのは栄利子、それとも翔子? 「女友達がほしい」という、ただ一つの欲望が共通したことで起こる修羅場と悲劇、その破綻から再生の予兆までを描き切った長編傑作小説。


リアリティは薄いと思うし、登場人物に共感するのも難しいと思います。
でも、あーなんかわかる、という部分がいくつもあるんですよね。
偏り過ぎた登場人物たちで、「そこまではいかないけど、ちょっとならわかる」みたいな、
そんな微妙な具合の共感を重ねるから、なんだか続きが気になってしまう。
読みながら、ひしひし感じるのは、「女友達」の難しさ。
いなくちゃ寂しいのに、ずっと一緒にいるとうっとおしくなったりする。
気心知れている仲でも、いや、気心知れている仲だからこそ、その快適な関係を続けるために、
適切な距離感を懸命に測りながら、気を遣いながら互いに干渉し合う。
そして仲がいいからこそ、自分の全てをわかってもらいたいのに、
小さな齟齬がやたら気になってしまったりするんですよね。
思い通りに反応してくれない相手に、すごくムカついてしまったりして。
それが30女ともなれば、みんな一律の学生時代と違って立場も多様化してくるから、
共感することの難解さと、それまでの人生の積み重ねによる頑なさが顕著に出てくるんだろうな。
この本では、学生時代のような無邪気にわいわい言い合う「女子」に憧れて再び女子を装う、
そんな大人女子の付き合いの難しさを描いているんでしょうね。
ここでは、登場人物たちの言動がかなり極端に描かれているけど、
分かってもらいたいのに分かってもらえないという、心の根っこは同じかもしれません。

そして、そんなデリケートな間柄なのに、女子が複数集まると必ずマウンティングが起こるんですよね。
(と、友人が力説していた)
テレビドラマみたいな強烈なんじゃなくても、小さなマウンティング意識なら誰にでもあるものだと思います。
ささやかな幸せアピールなんかもマウンティングを意識するから、出てくるんですもんね。
女友達という心地いい関係をキープしたいと願いつつ、内心では格付けをしてしまう、
どこか矛盾した女性心理…ああ、自分を含めて女性って怖い><

私自身は、あまりつるまないタイプの人間です。
だからって、友達付き合いがあまり上手ではない二人の主人公に、自分を重ねることはなかったですが、
身に覚えのある言葉はいくつかありました。
友達が多い人を見ると、自分が何か劣っているような気がするし、うらやましくも思います。
でも女同士のならではの、いろんな煩わしさを面倒くさく思って、
あんまり首を突っ込んでいかないんですよね(^_^;)
(子供が幼稚園の時、周りのママさんたちとの輪の中で、
子供の話しかしないことに「つまらない」と思ってしまった自分…。
ママ友を作るのは無理かな、とこの時に悟りました…(-_-)趣味の話ができるママ友っていないなぁ…)
作中の、女友達に囲まれている真織に劣等感を持ちながら、
あとで豹変する真織を見てちょっとホッとしてしまった自分に切なさを感じました…(>_<)
私の中でもいちいち格付けが行われてるんだろうな…。

作中で紹介される、ナイルパーチの「ビクトリア湖の悲劇」と呼ばれる話は、
この本とは別にして興味深い内容でした。
女子とナイルパーチの絡めせ方は、一見巧いような、ちょっとわかりにくいような感じだったかな…?
私の理解が下手なだけかも…。
あと、出てくる女性たちの人格形成に関わってくるのが、母じゃなく、父なのがイマドキ珍しい気がしました。
最近では母と娘の確執がよく言われてるのになー。

半分まで読んで、内容の苛烈さにうんざりしたりしたんですが(^_^;)、それでも最後まで一気に読めました。
好き嫌い分かれるタイプの本だと思いますが、ブラックな柚木さんがお好きな方は是非(^^)/