駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『君の膵臓をたべたい』 住野よる

強烈なタイトルに興味を惹かれて借りてみたこの本。
こんなタイトルなのに、感動ストーリーってどんなの!?
って読んでみますと、ヒロインが不治の病であるという、非常に王道で真っ当な青春ものでした。
でもよかったんですよー、王道ではあるけれど、予想を微妙に外してくるとことか結構ツボで、
こんな私でもちゃんと感動しました!
(普段、お涙ちょうだい物は読んでて冷めてしまったりする私なのです…(-_-))

文章がとても軽快で、ぽんぽん交わされるテンポ良いセリフのやり取りは、ラノベ感覚。
(大人には少々軽すぎる…(^_^;))
この真っ当さといい、恥ずかしくなるくらいの甘酸っぱさといい、中高生向けだなと思いましたが、
大人でも楽しめる作品だと思います(^^)/
少年マンガに出てきそうなヒロインだから、特に男性が好みそうかな。
例のごとく、煽りすぎな帯コピーに煽られずに読めれば、ちゃんと感動できると思いますよ~(笑)

<内容紹介>
偶然、僕が病院で拾った1冊の文庫本。タイトルは「共病文庫」。
それはクラスメイトである山内桜良が綴っていた、秘密の日記帳だった。
そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて――。
病を患う彼女にさえ、平等につきつけられる残酷な現実。
【名前のない僕】と【日常のない彼女】が紡ぐ、終わりから始まる物語。
全ての予想を裏切る結末まで、一気読み必至!



(以下、少々ネタバレ込の感想です。未読の方はご注意くださいね)



タイトルの衝撃は、数ページ読むとすぐに腑に落ちるんですよね。
ああ、ヒロインが膵臓を病んでるから、悪い部分を食べてあげるってことで、そういうことになるわけか、と。
でもそれは冒頭で明かされちゃってるから、多分ラストシーンではそのまんまの意味ではないんだろう、
と興味を惹かれて読んでいくことになります。
この本でよかったのは、そのタイトルの意味がちゃんと別にあったことと、最後の展開が予想を外れたことです。
彼女を失うという悲劇のお話ではなかった。
こういう話の典型で、病気の最期に彼女がメッセージを伝えながら、
涙の中で終わるという話ではなかったんですよね。
タイミングを外されたことに驚いたけど、ラストで彼女を失った後にもちゃんとページが割かれていて、
このお話はある意味ハッピーエンドでもあると思いました。
彼女と彼の間で、二人が出会った意味が通じ合っていて、それが成就したわけですから。
タイトルの意味が響いてくる日記の場面と、彼の成長が描かれるラストの場面が印象的でした。

途中まで、ヒロインがちょっと受け付けなかったんですよね(^_^;)
なんかいかにも男性の理想のような、ちょっと強引な美人な女子だなんて、
少年マンガ(恋愛系)の典型じゃないですか。
主人公の男子は地味で友達いなくて、そんな男子なのに、
クラスで人気者の女子がいきなり興味を示してくる…なんて、
「うわー、王道~」ってちょっと引いちゃったんですよね。
でもまあ、主人公の男性がそんなヒロインにメロメロ(笑)になっていってしまわなかったので、
何とか進めていけて(苦笑)、ラストの展開では素直に二人のやり取りを受け入れられて、
ジーンときましたよ。
「若い子たちにこれ読んでほしいなぁ」としみじみ思いました。



というわけで、若い人向けの少しライトな作品ですが、さわやかな感動を味わいたい人にはおススメです(^^)/


余談。
二人が旅行する先が福岡で(ちゃんと明記はされてなかったけど)、
あちこち見知った場所が出てきて地元人として楽しみました。
伏せて書かれているだけに、分かる人には分かる感が楽しかったです(^^)/
(でもラーメンで、はりがねは知らないなぁ…。バリカタとは言うけど)