駄文徒然日記

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『武士道ジェネレーション』 誉田哲也

いやー、完結したと思っていたので、思いもよらぬ再会に喜びました。
このシリーズをほんとワクワクしながら読んで、その二人が年を経ても変わらず元気でいてくれて、
なんか感慨深かったです。

<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
あれから六年、大学を卒業した早苗は結婚。香織は、道場で指導しながら変わらぬ日々を過ごすが、玄明先生が倒れ、桐谷道場に後継者問題が―。剣道女子を描く傑作エンタメ、六年ぶりの最新刊。

特に香織サイドを楽しく読みました。
相変わらず彼女の感覚のズレっぷりは笑えて、何度か吹いてしまいました。
そして香織の武士道一筋も相変わらずで、あまりにそれ一本すぎて将来の道も危ういところでしたが、
やはり何か一つのことに打ち込んでいれば、おのずと道は開けるものなんでしょうね。
充也さんとの「シカケとオサメ」のくだりはちょっと壮絶で、でも香織にふさわしくも思えて、
痛々しさに胸を痛めながらも応援してました。

ただ早苗サイドはちょっと残念だったかなぁ。
あれだけぼーっとしていながら、あの強烈キャラの香織と対等に渡り合っちゃう無敵さが、
早苗の魅力だったと思うんですが、今回は香織に完全に負けてた気がするなぁ。
なんか早苗があまり魅力的に見えなかったですもん。剣道も全然やってないし(涙)
まず、他の人も言っているように、早苗の歴史観の主張が強すぎました。
突然降ってわいたような話題で、どうしても浮いてしまってました。
早苗というキャラも別人に見えそうでした。
あまりに浮きすぎていて、終わったと思ったこのシリーズが突然こんな風に出されたのって、
誉田さんのこの主張を伝えたいがためだったのではないだろうかと勘ぐってしまうほど…(-_-)。
このシリーズなら、多くの人にあまり抵抗なく伝えられるんじゃないかと目論んだのではないかと…。
しまいには、香織の、強さを求める武道の話も、
「これも実は安保云々に関して言いたいのだろうか…」とまで思ってしまいました(>_<)
実際のとこは全然わかりませんが、読みながらついついそんな思いを抱えてしまって、
せっかくの再会の幸せにどっぷり浸ることができませんでした。そこは本当に残念でした。

でもま、どんな理由でも彼らの姿をまた見れたんだからいいじゃない、とも思いました。
そのくらい作中のみんなは、元気でにぎやかでしたからね(^^)
成長があるようなないような、そんな相変わらずな様子はうれしく読みました。
こんな感じならいくらでも続編行けちゃうんじゃないかなぁ、とちらっと期待したりもしたんですが、
最後に「完」の文字がありましたもんね。ああやっぱり完結なのかな?

少し引っかかる部分がありつつも、面白く読みました。
またシリーズの頭から読み返したくなっちゃったな。