駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『花酔いロジック 坂月蝶子の恋と推察』 森晶麿

今作も面白く読みました。

私の中で「森作品はキャラ読み」という傾向があるのですが、このシリーズはまさにそっち系。
ミステリはそっちのけで、二人の恋の行く先を追っかけてました(笑)
だって森作品のミステリは、設定や展開が独特ですからねぇ。
謎に引き込まれるというより、頑張って謎についていくという感覚なんですもん(^_^;)
そんな森さんらしい不思議感覚ミステリ話5編からなる連作短編集となります。

<内容紹介>
<スイ研>こと酔理研究会で、神酒島先輩とともに数多の謎に遭遇してきた蝶子。大学生活も二年目、<スイ研>には新たなメンバーが加入。思わぬライバルの登場に、神酒島先輩との関係にもついに変化が……!?



(少しネタバレ気味の感想。未読の方はご注意くださいね)



「朧酔いロジック」は源氏物語が出てきてうれしかったです。朧月夜好き~(^^)/
朧尽くしのラストは雰囲気良くて好きでしたね。
で、ミステリの方は、こんなわずかなヒントで解決しちゃう強引さは、ホームズのようだーなんて思いました。
相変わらず強引な展開で、ついていくのに必死です…(^_^;)
しかし思えばこの本は、三鳥先輩の浮気疑惑から始まって、三鳥先輩の○恋で終わるわけなんですね。

「紅酔いロジック」…変な話なんですよねー。
ホラーっぽいというかグロっぽいというか、連続殺人事件とか生き血を酒に使うとかって話が出てくるけど、
別にオドロオドロしてなくて、このシリーズらしいグダグダな雰囲気なので、
この話はどこへ向かうのだろうという感じでした(^^ゞ
「リープフラウミルヒ」は好きなお酒だったので、こんなとこに出てきて久しぶりに飲みたくなりました(^^)/
この話から、オチョコちゃんのライバルとなる凛子ちゃんが登場。
ちょっと強引な雰囲気でライバルにありがちな子かと思ったら、酔っぱらうとまさかのボクっ子
ボクっ子は好きなタイプじゃないけれど、こんな風に出てこられるとかわいく見えるもんだと、
凛子ちゃんを好意的に見れたのでした。

「華酔いロジック」、この話が一番好きでした。
夏祭りに花火という舞台だけでロマンチックだし、「ラブホ」絡みの会話のオチョコちゃんがかわいいし、
特にラストの芥川と花火を絡めたあたりなんか好きでしたねー。
「胸の奥で花火が散る」なんて、ああ、夏の恋!!素敵な余韻のお話でした~。

「化酔いロジック」、せっかく「華酔いロジック」で盛り上がってたのに、
私の中でどっとテンション下がってしまったのがハロウィンのこの話。
いつもの強引さ以上に強引なストーリー展開な上、ちょっと反則的なオチ。
反則というかなんというか、何と言ってもストーリー展開が強引すぎる…。
今後の重要キャラになりそうなフラスコ君も唐突に登場する羽目になるし。
これじゃ感情移入も難しいじゃないか。

んで、不満を抱えてラストの「卒酔いロジック」。こちらはまあまあ。
映像がずーっと出てくるあたり、黒猫シリーズの塔の話を思い出すな。
しかし森さん、映像にもこだわりがありそうだけど、その文章化は決してうまくない気がします…(酷)。
これがうまく伝わればいい雰囲気の短編になったんだろうけどなぁ。
消失事件のトリックにはなんとなく気づいたけど、彼女の結論にはちょっとびっくりでした。
ラストの神酒島先輩にノックアウト。もうこれだけで十分(笑)

今回は名作古典を何作か絡めて薀蓄を語るあたり、黒猫シリーズっぽくなってきましたね。
黒猫ほど難解な薀蓄ではないですが。
二人の距離はもう片思いを超えちゃって、両想い寸前、あとは最後形を整えるだけ、という状況です。
黒猫シリーズがあれだけ冊数重ねてようやく同じとこまできたというのに、このシリーズは展開早いなぁ。
一冊目が一年生、二冊目で二年生ということはあともう二冊は出るはず…。
今後どうなっていく?恋か将来かって話になっていくのかな?女優には手は出せないし?(にまにま)
もう二年も待たなくて、いきなり次巻ラストでもいいかもしれませんね。
二人の道はもう固まってきてそうだし、大学中退もありかも?(読者の勝手すぎる予想)
といいますか、あと二年も焦らされるのは、読者として待ち長いんだもん。

それより、黒猫シリーズ!待ってますよ~森さ~ん。