駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『忘れないと誓ったぼくがいた』 平山瑞穂

切ない青春モノ。

青春色が濃いSFテイストは、
時をかける少女』のようであり(原作未読で、アニメ映画しか見てません、汗)、
切ないラブストーリーは、
『世界の中心で愛を叫ぶ』のようでもあります。
(これも原作未読で、TVドラマしか見てません、汗汗)

『自分の存在』とは、他人の認識により確立するものである、
などと語るのは、この話の感想としては少し違うのかな、と思います。
これは、初恋物語、という感じです。
いや、初恋ほど淡くないか。First Love、って感じですね。

恋愛は、お互いに「特別」を意識して生まれるものなのでしょう。
きっかけはささいなことで、
それが心の中に引っかかって。
何か他人と違う扱いだったり、
他人と違う立場だったり、
他人と違う反応だったり。
二人のその「特別」が増えていくとともに、
初めて知る感情につながっていくんですね。

主人公のタカシの、動揺、喜び、戸惑い、期待感、不安、など、
周りが見えなくなっていく過程に引き込まれます。
時計店のシーンは、きゅーっとなりました。
設定が普通じゃないので、
感情の一喜一憂や、切なさがその分ひとしおですね。

物語に余白部分をちりばめているのが、とても映画向きだと感じました。
場面が淡々と進み、雰囲気を作っていく様子が、
映画を見ているようでもありました。
眼鏡の小道具が効いてますね。

これをSFものとして、もしくはあずさの方で読んでしまうと、
色々突っ込みどころがありそうな気がします…。
タカシになりきって、詳細は無視して読むといいかと思います(苦笑)

あと、一つ疑問が…。
ノローグは「ぼく」なのに、セリフが「俺」なのは、
なぜなんでしょう??
現実世界と、自身の世界が別物で…とかいう、
複雑な設定とかじゃないですよね??