駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『和菓子のアン』 坂木司

うわ~、かわいいっ!
なんて可愛いお話なのでしょう。
坂木さんの作品は初めてだったんですが、どストライクでした。

もう、おまんじゅうが並べられた表紙のこの本を箱にぴったり収めてですね、
包んで手土産にして、「疲れた時に是非どうぞ」と配ってまわりたいっ!
ほんとに心にあま~い一冊です。

表紙がですね、おまんじゅうがみっちり並んで、かわいいんですよ。
図書館でこの本借りて、表紙を見た瞬間、和菓子屋さんに直行して、上生菓子を買って帰りました。
で、お茶を淹れて、和菓子をつつきながら読書。
とても幸せな時間でした~。

<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
やりたいことがわからず、進路を決めないまま高校を卒業した梅本杏子は、「このままじゃニートだ!」と一念発起。デパ地下の和菓子屋で働きはじめた。プロフェッショナルだけど個性的な同僚と、歴史と遊び心に満ちた和菓子に囲まれ、お客さんの謎めいた言動に振り回される、忙しくも心温まる日々。あなたも、しぶ~い日本茶と一緒にいかがですか。

太めでちょっと自虐的なヒロイン、アンちゃんは、
前に読んだ越谷オサムさんの「空色メモリ」の陸くんに似た感じですね。
とっても愛すべきキャラです。
決して前向きな発言ばかりではないのに、アンちゃんの語りのこの心地よさはなんでしょう?
それはきっとアンちゃんがすごく自然体で、周りに対して柔軟だからなんでしょうね。
立花君の最後の例えが一番ぴったりかも。

周りで一緒に働く人たちも素敵です。
みんな自分が一癖も二癖もあるからか、人を見た目で判断しません。
きちんとお互いが向き合う人間関係ができていて、すごく素敵でした。
特に立花君にはやられました。彼もすごくキュートなんですよね。
で、アンちゃんの冷静な突っ込みも最高。
何度も噴いちゃいましたよ。
彼も、見た目に惑わされない好青年です。(彼の見た目は、惑わされますが…)
椿さんもかっこよかったです。素敵なのにあの私服(笑)。
(スラダンの藤真さんのようだ)
人間、完璧じゃないから愛おしいんですよね。
桜井さんも、よかったですねー。
とっても頼りになる友人って感じですね。

和菓子の世界も素敵ですね。
小さな塊に込められた、歴史と想い。
作中の、俳句とよく似てるっていうくだりは、とても納得できました。
実は奥が深いけど、何も知らなくて食べても、おいしいんですよね。
なんてかわいい存在なんでしょう。
作中、たくさんの和菓子が紹介されますが、一番印象深かったのは、立花君の作った「甘露家」。
単純に苺入りってのも惹かれるし、そのネーミングのエピソードにもうるっときました。

昔、甘味処でバイトしてたから、小豆にはすごく親近感があります。
和菓子も好きで、よく季節ごとにお店を覗いては、買って食べてます。
季節を模した姿がとても可愛いなぁと常々思っていたのですが、
今回この本を読んで、さらなる深い世界を知りました。
デパ地下の裏の姿もとても興味深かったです。

とても幸せな読書でした。
星四つです。