駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『夜行観覧車』 湊かなえ

久しぶりに湊さんの作品を読みました。
「告白」を読んで衝撃を受け、「少女」を読んでとりあえずしばらくいいや、と離れていた作家さんです(^_^;)
 
<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
父親が被害者で母親が加害者―。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。
 
読ませる力は相変わらずで、二日で一気読みでした。
登場人物が嫌な人ばっかりなんですが、どこか突き放せない部分もあってもやもやしました。
自分勝手に見える言動は、自分可愛さだったり、他人を思いやれない心の狭さだったりするのですが、
他人に干渉する臆病さというのもあって、そこは共感してしまうんですよね…。
「こんな人いたら嫌だ」と思いながら、どこか自分も通じるものを感じてしまうから、
続きが気になってしまうのかな。
読んでて不快なのに、読む手が止められませんでした。
「家族」や「友達」にはもっとコミュニケーションがあったはずだし、思いやりもあったはず。
いつからこうして一人一人が個室にこもってしまうような社会になってしまったのかなぁ?
 
タイトルが意味するのは、夜の明かりがもれる家のようなゴンドラが回る観覧車で、
上に上がったり下に下がったり、結局どこの家族も同じようにぐるぐる回ってるんだろう、
ってことを言ってるのかなと思いました。
罪をおかすかどうかの一線は、湊さんは、止めてくれる人がいるかいないかだとこの中で言っています。
家族というものが、大人数だった昔に比べて親子や夫婦だけの最小限の単位になってしまった今の社会で、
せめて家族同士くらいはきちんとしたコミュニケーションをとれないと、
作中の家族のように崩壊してしまいますよ、という警告をしてるのかな?
 
星は三つです。
全体的には悪くはなかったけど、最後もうひと盛り上がりあると良かったのになと思いました。
しりすぼみに終わったような気がしたので。