駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『パラドックス13』 東野圭吾

実はちょっと苦手な東野さん(^^ゞ
(だったら読むな、って話ですよね…)
今回もちょっと辛口になりそうなので、ファンの方は読まれない方がいいかも…(^_^;)
 
<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
13時13分からの13秒間、地球は“P‐13現象”に襲われるという。何が起こるか、論理数学的に予測不可能。その瞬間―目前に想像を絶する過酷な世界が出現した。なぜ我々だけがここにいるのか。生き延びるにはどうしたらいいのか。いまこの世界の数学的矛盾を読み解かなければならない。

分かりやすく面白い、というのが東野さんの作品のイメージです。
今回もSF物でしたが、あまり凝った作りにせず、シンプルに話が進むので、
SFにしては読みやすい話だったと思います。
好きだったキャラは太一かな。いいところも悪いところも、一番人間らしかった気がするので。
最後もきれいにまとめてますよね。
難解さでもやもやすることなく、すっきりした読後感が味わえる作品です。
(いや、数学的矛盾云々を理解できたわけではないですが…)
 
でも『漂流教室』(見たのはドラマですけど)や『7SEEDS』『ドラゴンヘッド』を見てしまってる私には、
この話はSFにしてもサバイバルにしても人間を描くにしても、物足りない気がしちゃうんですよね。
他の生存者グループが出てこないとか、割と早い段階で漂流した原因を知ってしまうとことか、
SFベースのお話はちょっと不足感あり。
人間関係も大きな仲間割れとかなく、誠哉の指揮下で割と穏やかに進みますよね。
さらーっと読めちゃうけど、ぐぐっと引きつけられるものがない気がしました。
 
東野さんの文章がちょっと合わないんですよね(^_^;)
私が特に内面描写を好むからだと思います。
とても読みやすい文章なのですが、例えばこの作品は、
「本」として読む必要があるのかな、と思ってしまうんですよ。
この作品なんかは、映像化したらこの本を読む必要ないのでは?と思うんですよね。
そうじゃなくて、本でしか読めない作者らしい言葉を聞きたいなと思うんですよね…。
純粋なミステリとかSFとかだったらあまりそういう描写は必要ないと思うんですけど、
人間を描こうとするなら外してほしくない気がします…。
むしろ東野さんには、『白夜行』のように心理描写を完全に排した上で、
人間を描く方が合うのかもしれません…。
まあ、好みの問題ですよね(^_^;)
 
星は三つです。
文章や内容の読みやすさはさすがで、500P近い厚さでも二日でさっと読めちゃいました。
多くの方が支持する作家さんであることは間違いないな、と思います。