駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『空想オルガン』 初野晴

ハルチカシリーズ、第三弾。
 
正直、シリーズものとしては出来がいまいちな気がして、どうなんだろうと思ったんですが(^_^;)
初野さんの一味違うミステリが好みなので、もうどこまでもついていきますよーと、
この本を読んで決意しました(笑)
今回は、ミステリとハルチカと部活がうまくミックスされてない気がしたんですよねー。
初野さんがためていたネタを、無理やりハルチカシリーズに押し込んだような違和感が終始ありました。
短編の中に、吹奏楽の話と、ミステリと二つ同時進行してる状態ですよね。
それとなく絡めてるけど、うまく重なってないように思いました。
だからそれぞれの書き込みが不十分で、ハルタとチカの掛け合いをもっと見たかったし、
ミステリももっとたっぷりじっくり楽しみたかった、と思っちゃいました。
ページ数と内容が合ってないのかなー?
 
と、ちょっと辛口になっちゃいましたが。
でもパーツそれぞれはすごく好みなんです。
キャラたちの会話もすごく楽しいし、ちょっと視点が違うミステリも新鮮で面白い。
普門館への道もメンバー集めもすごく気になります。
話が、コンクール出場になっちゃって、以前より絡めにくかったのもあるかもしれませんね。
あれこれ言ってますけど、追いかけたいシリーズであることは間違いないです。
 
あとは個別の感想を少しずつ…。
「ジャバウォックの鑑札」、ミステリの部分がページが足りなかったです~。
なんか話があわただしくて、もっとじっくり見たかったなーと思いました。
冒頭部分のチカちゃんの話はすっごいウケました。みんなとのやりとりが楽しい~。
 
「ヴァナキュラー・モダニズム」のトリックが一番びっくりしました。
あんだけ大掛かりでびっくり仕様なのに、感動エピソードにしちゃってるのもすごいな、と。
ちょっとあり得ないトリックだけど、
登場人物の、その深い想いに「そのネタ許す!」と思わされてしまいました(笑)
 
「十の秘密」は、ミステリは他のに劣るけど、
ミステリとコンクールの絡みが一番まとまってて良かったと思います。
セイジョの演奏してるとこ、是非見てみたーいと思いました。「デコクラ」って!!(笑)
 
「空想オルガン」、このシリーズは毎回最後に重い話を持ってくるんですね。
この話は初野さんの「水の時計」を思い出させました。
「俺」という一人称とか雰囲気が似てる気がしたんですね。
ハルチカみたいに楽しいのも大好きですが、また「水の時計」のような作品も読みたいなー。
話が逸れました…で、これこそ二本立てで話が進んじゃって、どうするんだと思ったら、
最後力技でまとめましたね!まるで予想してなくてびっくりしちゃいました。う~ん、やられた。
 
で、草壁先生の謎はまだまだ引っ張るんですねー。気になる、気になる…。
清水南高校は、個性的な人だらけな学校だと思ってたけど、
その周りも個性さん一杯だったんですね(笑)
セイジョ吹奏楽部のインパクトといい、ハルタ姉のすごさといい。
この先どんなキャラクターたちが加わってくれるか楽しみですね。
 
星は三つ。でもお気に入りのシリーズです(^^)