駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『チア男子!!』 朝井リョウ

読みました、朝井さん二作目。
前作「桐島、部活やめるってよ」が、独特な文章だったので、好き嫌い分かれるだろうなと思ったのですが、
今回は題材も王道で、文章もすごく読みやすく、幅広い人に受け入れやすそうな作品になってました。
 
<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
柔道の道場主の長男・晴希は大学1年生。姉や幼馴染の一馬と共に、幼い頃から柔道に打ち込んできた。しかし、無敗の姉と比べて自分の限界を察していた晴希は、怪我をきっかけに柔道部を退部。同じころ、一馬もまた柔道をやめる。一馬はある理由から、大学チアリーディング界初の男子のみのチーム結成を決意したのだ。それぞれに事情を抱える超個性的なメンバーが集まり、チームは学園祭での初舞台、さらには全国選手権を目指すが…。
 
前作を好きでなかった人や、読んでない人は、素直に楽しめる作品だと思います。
ストーリーは、スポーツ青春モノの王道。何もないところからメンバーを集め、チームを作り、全国を目指す。
こういう作品はどれを読んでも面白い。本来私の好きなジャンルです。
でも私は、繊細な高校生たちを描いた前作が好きだったので、
今回の作風の変わりようにあれ?あれ?と思いながら読み進めていくことになりました。
前回すごくリアルだった登場人物が、今回はなんかマンガチックにデフォルメされてるんですね。
こういう青春スポーツものなどでは、人物を個性的に書き分けるために大抵そうするものですけど、
前作の印象が強く残ってる私には、読んでる時に、
誰の作品を読んでるのか一瞬分からなくなって戸惑ってしまうことがありました。
(前作とは全く別物なんですけどね)
 
以前のように文章がぶちぶち切れることはなく、とても読みやすい文章。
ただこの「読みやすい」は、単純に褒め言葉ではないですけど。
今回のような王道作品で、前作のような文章を書いちゃダメでしょうね。
ただ、どこか違和感も感じたんです。
手にしたアイスが夏の暑さで溶けていく様を、
「キャラメル味のアイスが太陽に食べられていく。」
と表現する、その朝井さんのセンスが私はすごく好みなんですね。
その繊細さが、今回の作品に存分に生かせてたのかな?
 
というわけで、前作に思い入れの強い私には、のめり込めなかった作品でした…。
そうでない人には、きっと楽しめる作品だと思うんですけど…(^_^;)
登場人数が多くて、描写が散漫になったのも、キャラに思い入れしにくかった原因ではないかな?どうかな?
メガネ男子好きなので(笑)、一番好きだったキャラは溝口です!
 
星は三つ。
今回、朝井さんの幅の広さに驚かされました。
これでへこたれずに、まだまだ追いかけていこうと思います。
やっぱり朝井さんの感覚は好きなので、次はもっと受け幅でかくして挑みます~。