駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『第二音楽室』 佐藤多佳子

佐藤さんの作品は、「一瞬の風になれ」しか読んだことがありません。
今回のは「一瞬の~」に比べると、随分印象が違うなと思ったのですが、
友人に言わせると、他のはこんな感じで、どっちかというと「一瞬の~」の方が異色なんだそう…。
なるほどなるほど、本来こういう「女の子」の話を書かれる人なのかな。
 
<内容紹介>(出版社HPより)
4年ぶり待望の新作は2ヶ月連続刊行の中・短篇集。ノスタルジィの匂い漂う音楽を巡る物語をあわ
せて5篇お届けします。第1弾となる本書4人の語り手は少女たち。表題作は、鼓笛隊のおちこぼれ
組が過ごした短くて幸福な夢みたいな時間のスケッチ。他初恋以前の気分が甘酸っぱい「デュエット
」、リコーダーアンサンブルのハーモニーの美しさを封じ込めた「FOUR」、軽音部の繊細な友情
を鮮やかに描く「裸樹」と傑作揃いのカルテットとなりました。

タイトルに「音楽」という言葉がついてるので音楽モノかと思ったんですが、
音楽より青春恋愛モノの方がメインって感じかな。
サブタイトルもschool and musicですしね。「学校生活、それと音楽」って感じです。
女子のイマドキな描写がリアルっぽくて興味深かったです。
乱暴な言葉遣いとか、ちょっとひねたものの見方とか。
こういう年代の子と接することないので、
イマドキの女の子ってこんな感じなのかな、どうかな、なんて思いながら読んでました。
 
イマドキっぽい言動の女の子たちなんだけど、恋する女の子の中身は変わんないですよね(^^)
読みながら、自分の昔のドキドキも思い出しちゃう絶妙な描写。
あれやこれや、なんやらかんやら、頭ン中でごちゃごちゃ考えながら(計算しながら?(^_^;))、
生きてんですよね、女の子って。
教室の空気を肌で思い出すような文章に、ドキドキしながら読み進めました。

と、男の子に対する主人公の姿は、ノスタルジックにも見えて共感できるんですが、
「裸樹」で描かれるような同性に対する姿は痛々しいですね…(>_<)
ただでさえ多感な時期なのに、現代っ子は周りに対する気遣いだけで疲れてしまいそう…。
新聞で見たアンケートで、若い人ほど「品行方正」なんて四字熟語を支持するとありました。
今の時代は「天衣無縫」とか「自由奔放」とか周りに合わせられないのは、敬遠されちゃうのかな?

星は三つ。雰囲気が好きだったので、続編(?)の『聖夜』も楽しみです。