駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『魔術はささやく』 宮部みゆき

先日この作品のドラマやってましたね。
それとは全く関係なく借りてきてて、ドラマ放送の時に読んでたので、
「おおー、なんかタイムリー」と思ってしまいました。
随分古い作品なのに、こんなタイミングでドラマ化したりするんですね。
(ドラマは結局見なかったんですけどね(^^ゞ)
 
今までほとんど宮部さんを読んでなくて、まだ数冊しか読んでないのですが、
なんとなく宮部さんの作風が分かってきた気がします。
物語のメインの筋があって、それを中心にかなり広い幅をとって物語を描かれる方なのですね。
ミステリとして読むと冗長とも思える描写が多くあって、筋を追う身としては戸惑ったりするのですが、
ミステリ以上に人間を書きたいのだろうなーと思えました。
脇にそれるお話も非常に魅力的で、ストーリーに必要ないのでは?と思いつつ、面白いから読んじゃいます。
サブリミナルは今では珍しくなくなってしまったけど、鍵の話なんか面白かったですねー。
時代背景が今と全然違うのがちょっと切なかったです。このころは不景気とは無縁だったのだろうなぁ。
 
<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。二人めは地下鉄に飛び込んだ。そして三人めはタクシーの前に。何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた…。だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。日本推理サスペンス大賞受賞作。
 
たくさんの話が絡み合ったお話で、あらすじがまとめにくいですね。
いろんな要素がてんこ盛りって感じです。導入部分はサスペンスっぽくてハラハラしました。
一見普通の事故に見える二人の女性が、実は不審な死に方をしていて、狙われる三人目の女性。
何かに追われる描写がスリルがあってすぐさま物語に引き込まれました。
のちに明かされるトリックに関してはちょっと反則気味にも思えるけど、
そこが肝のお話ではないので問題なしです(^^)
 
物語の主人公・守くん。名前が印象深いです。
かわいそうなほど不幸体験を重ねる立場で見てて不憫なのですが、しなやかに強いですね。
子どもなので、多くの大人から守られる立場にあるけれど、彼の芯の強さが周りの人々を救済に導きます。
このちょっと斜に構えつつも、気持のよい真っすぐな少年は宮部さんらしさなのかな。
様々な言い分の大人が守君の前に現れ、懺悔のように罪を吐いたり、優しく諭したりしてくれます。
ミステリ以外も色々語られるこの作品、話のメインは実はこっちなのかな?
清濁併せ呑んで、少年はひとつ成長するのですね。
 
うーん、宮部さんの作品は、読むのは楽しくてどんどん読んじゃうんだけど、感想を書くのが難しいです…(^_^;)
この感想文からは分かりにくいと思いますが(^_^;)、とても面白く読みました。
星は四つです(^^)