駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『モノレールねこ』 加納朋子

長編好きな私としては、短編集は気軽に、すき間時間にちょこちょこ読んで楽しむので、
あまりがっつりハマりこんで読むことはないんですよね。
だからかな?(^_^;)
巻末解説の方が四回読んで四回泣いたって書かれてたんですけど、
私は泣くまではなくて、「え?私大丈夫??」と心配になってしまいました…(-_-)
 
<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
時をこえて届くあの頃からの贈りもの。儚いけれど、揺るぎない―「家族」という絆。デブねこの赤い首輪にはさんだ手紙がつなぐ、ぼくとタカキの友情(「モノレールねこ」)。夫を待つ時間に取り組んだ白いパズルの中に、犬の気配が(「パズルの中の犬」)。家族をいっぺんに失った中学生の私と、ダメ叔父さんの二人暮らし(「マイ・フーリッシュ・アンクル」)。私と偽装結婚したミノさんは、死んだ婚約者がそばにいると信じていた(「シンデレラのお城」)。ロクデナシのクソオヤジに苦しめられてきた俺に、新しい家族ができた(「ポトスの樹」)。会社で、学校で、悩みを抱えた家族の姿を見守るザリガニの俺(「バルタン最期の日」)。

泣きはしなかったんですけど(^_^;)、面白く読みました!
とても読みやすいです。
泣ける類のいいお話ぞろいなんですけど、あざとさはあまりなく、
淡々と、そして毒っ気をちょっと混ぜてるのが、好みでした。
ほとんどの話に「死」が出てきます。
でも泣かせるための「死」ではなくて、読んでみればわかるのですが、繋ぐための「死」なんですね。
前に読んだ辻村深月さんの「ツナグ」をちょっと思い出したりもしたんですけど、
こうやって哀しい「死」ということの先に、何かに繋がっていく希望を見せてくれるお話を読むと、
ちょっと安心できたりするんですよね。
そんなお話を、表紙のようにやわらかいタッチと色使いで、あたたかく描いてくれています。
 
印象に残ったお話は、「マイ・フーリッシュ・アンクル」「セイムタイム・ネクストイヤー」とかかな。
いや、「マイ・フーリッシュ・アンクル」の叔父さんはどうしようもないんですけどね(^_^;)、
でも短編らしい、キャラや構成の無茶ぶりが面白く感じました。
「セイムタイム・ネクストイヤー」はこの世とあの世を彷徨う感じがとても印象的で好きでした。
解説者絶賛の「バルタン最期の日」も良かったんですけど、
主人公のザリガニよりお母さん視点で読んじゃったからな~(^_^;)
感動より、痛ましさが残りました…。(私が母親な立場なものでつい…)
 
少しだけ不満点…というか泣けなかった言い訳かな?
私は短編でも、つい長編モードで読んじゃうから、
例えば、「マイ・フーリッシュ・アンクル」のような、いきなり一家に死なれちゃう設定とかは、
戸惑っちゃいます…(^_^;)「死」はやはり大きいです…。
短編のための設定に入り込むのは難しいです(>_<)
 
星は四つ。
幅広い人に受け入れられる作品だと思います。
忙しい日々に疲れた時など、ひと息入れたいなという時に、気軽に読むのに適してそうかな。