駄文徒然日記

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『折れた竜骨』 米澤穂信

面白かったです!
ファンタジー苦手で、外国名も苦手で、本格ミステリも得意じゃないですが、これは読みやすかったなぁ。
苦手なカタカナの人物名はちっとも覚えられなかったんですけど、
さり気なく特徴を添えて書いてくれてるから、誰のこと指してるか分かりやすかったんですよね。
ミステリに関しても、逐一親切に説明してくれて取り残されることなく読めました!
本格ミステリでは解決編あたりで、よく説明についていけなくなるんです…(^_^;))
 
<内容紹介>(「BOOK」データベースより)
ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナはある日、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた…。自然の要塞であったはずの島で暗殺騎士の魔術に斃れた父、“走狗”候補の八人の容疑者、いずれ劣らぬ怪しげな傭兵たち、沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年―そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ?魔術や呪いが跋扈する世界の中で、「推理」の力は果たして真相に辿り着くことができるのか?現在最も注目を集める俊英が新境地に挑んだ、魔術と剣と謎解きの巨編登場。
 
ファンタジーの世界観を楽しみ、ミステリも楽しめる、一粒で二度おいしい作品でした。
騎士たちの背景も丁寧に作りこまれているようで、そこら辺のサイドストーリーも読んでみたくなるほど、
キャラたちにハマりました。
容疑者に当たる傭兵たち、数たくさんいるのに、途中まで大して描かれないんですよね(^_^;)
でもおかげで混乱せずにすんで助かりました。
で、ラストの戦闘シーンで傭兵みんな見せ場があって、ここで一気に株をあげちゃうんですよね。
それまでほとんど出てこなかったくせに、最後の謎解きの時にはどのキャラにも、
それなりに思い入れを持ってみれちゃう。
ああ、親切設計(笑)
 
特殊設定のミステリってことだそうですが、面白いですよねー。
「走狗」なんて設定、普段の舞台じゃあり得ないですよね。
本人の自覚なく魔術でやらされた殺人を推理するんですもの。
推理もトリックもファンタジーと言う舞台を活かして作られてるのが見事でした。

犯人については、途中でなんとなく分かっちゃったんですけどね。(とある描写で怪しいなーって)
でもラストシーン好きだなぁ。
決してハッピーエンドじゃないんだけど、切なくて、でも前向きで素敵でした。
それまでお互いに深めてきたものが、ここで立派に花開いた感じでした。
「どうしてこうなっちゃったかな」って結末が胸痛くて泣けちゃうんですけどね…。
 
騎士ファルクとその弟子ニコラの関係がすごく魅力的で、引き込まれました。
そして個人的には呪われたデーン人、トーステンにときめいてましたね(笑)
全然普通じゃないくせに、何事もないかのようにふるまってるギャップに惚れたのかもしれない…。
デーン人、なんだか皆様、魅力的なんですもの~。あの人もあの人も…。
彼には幸せになってほしいな。
 
星は四つ。初・米澤作品、満足の読書でした(^^)
米澤さんのミステリってこれ以外も読みやすいのかな?
他の作品でおススメがありましたら、教えてくださ~い!