駄文徒然日記

移行したばかりです。これから整理していきます。

『先生、子リスたちがイタチを攻撃しています!』 小林朋道

小林先生のシリーズ三作目です。
次は二作目を読むはずだったんですが…なんと図書館に置いてないんですよー。
貸し出し中とかじゃなくて、最初からないんです。
私が利用してる図書館って、よくこういうことがあるんですよ~。
シリーズものが途中までだったり、途中一冊しかなかったり、間が抜けてたり…と、
中途半端になってることがよくあってですね、ちゃんと揃ってないので借りれないんですよね。
ほんと、なんでかなー?って思うんですけど。シリーズものはちゃんと順番にきちんと入れてくださ~い(>_<)

というわけで、不本意ながら三作目を借りてきました。
今回も面白かったです~(^^)
やっぱり先生の感覚が素晴らしいです。
生き物に対する愛に溢れていて、読んでいて非常に心地いいんです。
 
一作目では11編ものお話が詰め込まれていたので、
「もうちょっと読んでいたいのになー」と物足りなく思った部分がありましたが、
今回は6編収録で、一つ一つのお話がちょうどいい長さに感じました。
先生のユーモアあふれる文章もさらに磨きがかかって、ますます読みやすくなっているように思いました(^^)
 
<目次より>
 
イタチを撃退するシマリスの子どもたち!
張りぼての威厳をかけたヤモリとの真夜中の決闘
アカハライモリの子どもを探しつづけた深夜の一カ月
ミニ地球を破壊する巨大(?)カヤネズミ
この下には何か物凄いエネルギーをもった生命体がいる!
ヒヨドリは飛んでいった
 
 
相変わらず愛に溢れた本でした。
可愛い動物たちはもちろんのこと、周りの生徒にも愛情持って接しておられ、
自分の欲求や反応にも素直に応じ、自分を含めた全ての生き物たちを慈しむ様子がとても魅力的でした。
特に、ナチュラルに動物視点で表現されるとこなんか驚きです。
動物に対して、人間からの視点(しかもちょっと上から目線)で、「つかまえた」「逃げられた」と言うところを、
先生はちょこちょこ動物側の視点で書かれるんですよね。「かわいがられる」「つかまえられる」などなど…。
それがほんと違和感なく溶け込んでるのが、先生の普段の心構えを思わせて、頭が下がるのです。
ほんと生き物に対して敬意を持ってらっしゃるのだなぁ。
 
中でも、自分を「捕食者」の一例として挙げた文章など、大ウケしました(^^)
 
  …ほかには、食べはしないが、手でつかまえてしまうコバヤシという動物もいる。
  ただし、コバヤシはいろいろ調べたあと、ゲンキデナとかなにか、
  わけのわからない鳴き声を発したあと、子イモリをその場に放すという習性がある。…
 
先生ならではなユーモアに溢れた表現だなあ、と思いました(^^)
 
環境、自然がテーマになると、「人間の環境破壊が悪い」という感じで
「自然」VS「人間」という構図になりがちなんですが、
人間動物行動学を専門にされている先生は、人間を含めた生き物全てに愛を注がれているんですね。
先生は、残された自然をフィールドワークにされてますから、環境破壊のまさに前線におられて、
その危機感も非常に強く感じられるわけですけど、先生が叫ばれる「環境破壊危機」の警告からは、
自然を守るということは、われわれを守ることに繋がるというのがひしひしと伝わってくるので、
いつも耳にする以上に危機感に迫っていて堪えます。
自分で自分の首を絞めてるという現実に、早く気付かねばならないなと思わされるのです。
動物が生きにくい環境は、例え便利と言えど、私たちにもいいはずないですものね。
 
そんなこんなを考えさせられながらも、全体的には愛情あふれた、
先生と生き物の素敵なやり取りがユーモア満載で描かれています(^^)
先生が生徒の前で一生懸命体裁を守ろうとする姿も笑えます。
(でも先生、そんなのここで書いちゃったら結局台無しなんじゃ…?(笑))
あと、さりげなく先生の名づけの描写にも笑いました。
毎回一生懸命考えてるみたいだけど結局それかい!みたいな(笑)
やっぱこのシリーズはいいなぁ。
 
星は四つ(^^)また続き借りてこなくちゃ!